CRMを使うことで、顧客情報を一元管理し可視化することができるので顧客満足度と顧客ロイヤルティを向上させることができるという利点から、CRMを活用している企業が多く、成果を上げています。
現在では、大企業に関わらずどの企業でも積極的にCRMを取り入れるようになり、「CRMの必要性」が再認識されています。
しかし、これからCRMを導入しようか検討しているという方は「本当に効果はあるの?」「実績はあるの?」と不安になると思います。
そこで当記事では、「企業がCRM導入前に準備すること」「企業のCRM導入事例」や、各企業が顧客に対してどのようなアプローチ・施策をしているのかを紹介します。
CRMはどのような企業が利用しているのか?
CRMは「Customer Relationship Management」の略称で、『顧客管理』または『顧客関係管理』と呼ばれています。
このCRMを導入し活用することで、顧客情報を一元管理し社内で共有できるだけでなく、共有された顧客データを分析し、顧客に最適なアプローチができるという特徴があります。
このような特徴があるため、業界大手の企業がCRMを積極的に導入し、営業活動における様々な問題を解決しています。
では実際にどのような企業・業界がCRMを導入しているのかを以下で紹介していきます。
顧客情報を扱う業界
CRMシステムをよく利用するのは「保険業」「不動産業」などの『顧客と接点がある業界』が挙げられます。
他にも「美容院」「メディア」「エンターテインメント」「製造業」など世の中にあるほとんどの企業が当てはまります。
CRMの目的は、『顧客満足度』や『顧客ロイヤルティ』を向上させることで、売り上げアップを目指すことです。このような目的を持つ企業や業界であればどんな業種でもCRMを活用することは有効的です。
企業の大半は「顧客ニーズを知りたい」「顧客のニーズに応えたい」という課題と目標があるはずです。このような場合、CRMを活用することで課題解決に繋がります。
サポート・サービスを行う業界
CRMシステムを活用するなら、『サポート・サービスを行う業界』も有効的です。
例えば自動車を販売する会社なら、顧客の「価値観」「ライフスタイル」などが接客を通して分かり、その情報をCRMを使って一元管理し分析することで、顧客が求めている自動車を販売することができ、顧客満足度と売り上げが向上します。
さらに、保険業でCRMを使うことで、「保険を見直すタイミング」や「ライフイベント(人生の大きな出来事)」に合わせた効率の良い営業活動を行うことができます。
ECサイト
現代は、スマートフォンが普及した影響で個人一人ひとりがインターネットを通じて商品を購入したり、InstagramなどのSNS経由で商品の注文が入ることが当たり前になっています。
またスマートフォンが普及したことにより、店舗で商品を買うよりもネット上で商品を手軽に購入できる『ECサイト』を利用する人が増えてきました。
そんなECサイトもCRMを活用すれば「契約内容」「注文日時」「顧客情報」などがリアルタイムで分かるようになります。
これらの情報を管理し、分析することで「売れる商品」や「今顧客が求めている商品」が一目で分かるようになり、売り上げアップが見込めます。
営業活動を行う会社
CRMは営業活動をする営業担当者にもおすすめできます。
営業活動をする上で重要な、「商談内容」「契約できそうか」「今後どれくらいの注文があるのか」などをCRMに入力し一元管理したデータにすることで、『精度の高い売上予測』を立てることができます。
また、CRMで顧客情報を一元管理することで、営業担当者が不在の場合でも他の営業担当者が代わりに顧客対応を行うことができます。
企業がCRM導入前に準備すること
CRMを活用することで、顧客情報が可視化され顧客に対してより良い提案ができるので多くの企業に導入することをおすすめしますが、CRMを導入する際はある程度の準備が必要です。
そこでここでは、企業がCRM導入前に準備すること4項目をご紹介します。CRMの導入を考えている企業や担当者の方の参考になれば幸いです。
自社に合ったCRMシステムを選ぶ
CRMを導入する際には、使うCRMを選定すると思いますが、CRMは世の中に数多くあるので「どれを選んでいいか分からない」という壁に当たるはずです。
もしここで何も考えずに「おすすめで1位だったCRMを導入した」「多機能なCRMを導入した」だと導入して数か月経っても効果が現れず、使わなくなるというような事態に陥る可能性があります。
しかし、『企業が抱える課題を解決してくれるCRM』を導入することで今後の営業が成功するかどうかが決まってきます。
昭和シェル石油株式会社は、企業が抱える課題に合ったCRMを導入したことで短期間で成果を上げたという成功事例があります。
CRMを選ぶ際は、「柔軟性」と「拡張性」を持ち、自社が抱える課題を解決するために必要な機能を搭載したCRMシステムを選ぶことが重要です。
管理体制を整えておく
CRM導入後は継続して運用しないと「顧客満足度」「売り上げ」共に向上は見込めません。
そこでCRMシステムを導入する前に、自社で管理体制を整えておくことが重要です。
またその管理体制の時に決めるチームメンバーには、『各部門の責任者』を選定するのが良いとされています。
各部門の責任者がCRM管理のトップに立つことで、組織の上層部が意思決定をして部下が指示を実行するという流れ、いわゆる「トップダウン」の導入がスムーズに進みやすいというメリットがあります。
CRMのマニュアルを作成する
CRMは始めは数人で実験的に利用することが多いですが、正式導入が決定すると複数の社員が利用します。
もしかすると「IT業務が苦手」「使い方が分からない」という社員が大勢いることで業務に支障をきたすかもしれません。
そうならないためにも、CRMを導入する前から『CRMのマニュアル』を作成しておきましょう。
運用方法を予め明記しておくことで、導入後の情報管理がスムーズに進みCRMの効果が早い段階で現れるかもしれません。
スケジュールを立てる
CRMを導入する際は、「期日までに行う業務」と「業務を行う社員のスケジュール」を予め洗い出しておきましょう。
また、スケジュールを決める際は企業の「経営層」など影響力のある人をリーダーにすることで、CRMの導入後もスムーズに業務を行うことができます。
企業のCRM導入事例とは?
業界大手の企業がCRMを導入し、営業活動における問題解決を行っていますが「CRMを導入して具体的にどんな問題点が解決したの?」「どんな企業がCRMを導入して成功しているの?」と気になる方がいると思います。
そこでここでは、企業のCRM導入事例と解決した問題点を紹介していきます。
導入事例を知り、自社にCRMを導入するかの判断材料として活用していただければと思います。
- 株式会社ナノ・ユニバース
- 日産自動車株式会社
- アサヒフィールドマーケティング株式会社
- アストンマーティン・ラゴンダ
- 森ビル
活用事例①株式会社ナノ・ユニバース
株式会社ナノ・ユニバースは、衣類品全般の企画・製造・小売り・卸及び輸出入を行っている日本のセレクトショップです。
株式会社ナノ・ユニバースでは元々「ECサイト」と「店舗POSシステム」を導入・運用していて、それぞれで会員システム・ポイントサービスが運用されていました。
今後『O2O施策』『オムニチャネル戦略』を実施するにあたって、顧客情報の一元化による情報の集約が必要になったことでCRMの導入を検討しました。
CRMの導入後は、各販売部門で分散されていた会員システム・ポイントサービスを統合することにより、顧客の利便性が向上しただけでなく、ポイントの活用がしやすくなったことでポイントサービスの質が向上し、売り上げアップに繋がったという実績があります。
・O2O施策とは・・・「Online to Offline」の略称で、ネットの情報から実店舗へ顧客を誘導する販売動線のことを示す言葉です。
・オムニチャネル戦略とは・・・ネット・イベント・モバイルなどチャンネルを問わずにあらゆる場所で顧客との接点を持とうとする考え方・戦略のことを指します。
活用事例②日産自動車株式会社
日産自動車株式会社は「GTR」や「フェアレディZ」など車好きなら誰でも知っている名車から、「ノート」といった地球環境に優しい車まで幅広いラインナップを揃える大手自動車メーカーです。
そんな日産自動車株式会社は、顧客が自分の価値観やライフスタイルでラインナップされた車を選びやすくするためにCRMを導入しました。
導入したCRMは、マイクロソフトが提供している『Dynamics CRM』で、次世代のディーラーマネジメントシステムを構築しています。
日産自動車株式会社は、マイクロソフトがクラウド上で提供しているプラットフォームである『Windows Azure』で動作するシステムを各販売店に設置し、顧客が自分の年齢・属性・購入目的・車の好みなどを入力することによって、システムがこれらの情報を元に顧客一人ひとりに合った車を選択してくれます。
このシステムを導入したことによって、まるで経験豊富な長年付き添って来たディーラースタッフのような、顧客ニーズを理解した接客を行うことができるようになりました。
活用事例③アサヒフィールドマーケティング株式会社
アサヒフィールドマーケティング株式会社は、有名な「スーパードライ」や「カルピス」などを始め「ミンティア」など生活に欠かせない商品を売り場に陳列しています。
そんなアサヒフィールドマーケティング株式会社は、スーパーなどへの自社商品の陳列や売り場を作る「ラウンダー業務」においてCRMが活用されています。
もともとCRMを導入する前までは、「効率的な訪問」「本部とラウンダーとの連携」が上手くいかないという課題を抱えていました。
しかし、CRMを導入してからは『効果的な訪問ルートの作成』『本部からの指示を地図上で色分けする』ことができるようになったため、リアルタイムで指示出しを行うことが可能になりました。
活用事例④アストンマーティン・ラゴンダ
アストンマーティンは、イギリスの自動車メーカーで正式な会社名は「アストンマーティン・ラゴンダ」です。
そんなアストンマーティンは、103年という長い歴史がありながら150を超える世界中のディーラーとの情報共有がなされておらず、「販売プロセス」「顧客情報」「見込み顧客と契約を結ぶまでの流れ」といった営業情報が不足していることが最大の課題でした。
そこでアストンマーティンは、各国のディーラーにCRMシステム『Salesforce』を導入したことで、「契約までの流れ」だけでなく「なぜ成約に至らなかったのか」といった細かいことまで管理できるようになり、顧客情報の可視化にも成功しています。
CRMシステム『Salesforce』について当サイトでも触れているので、CRMを選ぶ際の参考になれば幸いです。
また、クラウド型の社内情報共有SNS『Chatter』を活用し、ディーラーとのコミュニケーションを図り、意思疎通を行っています。
活用事例⑤森ビル
森ビル株式会社は、東京都港区を拠点とする都市デベロッパーであり不動産会社です。「アークヒルズ」「六本木ヒルズ」「ラフォーレ原宿」「表参道ヒルズ」などの運営をしていることで知られています。
そんな森ビルは、従来から使用している自社開発の「住宅営業・運用管理システム」が事業拡大やサービスの多様化に対応できないという課題がありました。さらに、顧客への営業活動や業務フローの管理を行うことが難しくなっていました。
そこでマイクロソフト社が提供するCRMシステム『Dynamics 365』を活用することで、1つのマンションに賃貸・分譲が混合するビジネスモデルを持つ森ビルが、情報を一元化することで可視化することに成功し、一括管理を行うことができるようになりました。
今後は顧客情報を元に分析し、顧客満足度の向上に繋がるサービスに活かす方針です。
まとめ
ここまで「CRMはどのような企業が利用しているのか」「企業がCRMを選ぶ際に準備すること」「企業のCRM導入事例」を紹介してきました。
顧客と接点を持つ業界ならどんな企業でもCRM活用をすることで顧客満足度と顧客ロイヤルティの向上が見込め、結果的に自社製品の売り上げアップに繋がります。
ただ、闇雲に人気が高いCRMを選ぶのではなく自社に合ったCRMを選定するように心掛けることで、CRMと自社ニーズがマッチしCRM導入前よりも顧客満足度を高めることができます。
また本記事では、企業のCRM導入事例とCRMをどのように活用しているのかを紹介しているので、CRM導入の際は参考にしてください。
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