顧客が生涯のうちに自社にどれだけの利益をもたらしてくれるかを数値で表した『LTV』という指標が、重視されています。
現在では多くの企業が、LTVなどを導入しており、それぞれの企業がさまざまな取り組みを行っています。
LTVが重要視されるようになったのは、「インターネットなどの豊富なツールの普及」「スマートフォンやタブレットの普及」により顧客一人ひとりの情報の多様化が進んだことが挙げられます。
LTVの最大化が重要課題として注目されるようになり、多くの会社が資料に記載したりセミナーなどの体験の重要性が高まっています。
しかしLTVを最大化させると一言で言っても、「LTVを最大化させる方法は何があるの?」「LTVを最大化させることでどんなメリットがあるの?」と多くの疑問を抱えるはずです。
そこで当記事では、LTV(顧客生涯価値)を最大化させる方法やLTVを最大化させるメリット・ポイント、LTVに重要な『CRM』とは何か、といった疑問を解決できるような役立つ情報を紹介します。
LTVの最大化が重要視される背景とは?
LTVは、「Life Time Value(ライフタイムバリュー)」の略で、日本語では『顧客生涯価値』のことを指し、企業が行うマーケティング成果指標にあたります。
BtoBなら1社、BtoCなら1人の顧客が特定の商品やサービスを利用しどれだけの利益をもたらしてくれるかを算出し、数値として表します。
現代では、スマートフォンやタブレットが普及し、広告やWeb媒体を通して様々な情報を誰でも得ることができるようになり、マスマーケティングでは生き残りづらい環境になりました。
・マスマーケティングとは・・・全ての顧客を対象に、同じやり方でマーケティング活動を行うことを指します。近年は、インターネットの普及により好きな情報を誰でも取得できるようになったことから、顧客のセグメントの範囲が細分化されマスマーケティンでは顧客に興味を持ってもらうことが難しくなりました。
そこで顧客ロイヤリティを高めて、LTVの最大化を図ることで継続して安定収入を得ることを目標として定めている企業が増えてきました。
LTVの最大化が重要視された背景は様々ありますが、その中でも主な背景として挙げられる2つを以下よりご紹介します。
新規顧客獲得よりも既存顧客の維持に努めることが重要になった
LTVを最大化させることが重要視されるようになった背景には、新規顧客獲得よりも既存顧客の維持に力を入れた方が低コストで利益を拡大できるからという理由があります。
一般的に新規顧客獲得は、既存顧客の5倍のコストがかかると言われていて、マーケティング用語の中にも『1:5の法則』という言葉があるように既存顧客の維持が重要であることが分かっています。
・1:5の法則とは・・・新規顧客獲得は、既存顧客維持の5倍のコストがかかるという法則のことを指します。事業を拡大するためには、商品やサービスを初めて購入する「新規顧客の獲得」は必要ですが、低い料金で利益に直結する「既存顧客の維持」は、それ以上に重要であることをこの法則では示しています。
企業・ビジネスとして大きく成長したいなら新規顧客獲得も欠かせませんが、既存顧客の維持に努め可能な限りコストを下げ、既存顧客に対するサービスの質を向上させ『継続的に利用してもらう』ことを目標に定めることが重要です。
既存のお客様の維持に努めることが結果として、LTVの向上につながり「コスト削減」という大きなメリットを得ることができます。
顧客の購買行動が変化した
スマートフォンやタブレットが普及し、いつでもどこでもインターネットに接続できる現代で、「サブスクリプションサービス」「クラウドサービス」などが登場したことで顧客の購買行動に変化が表れ始め、従来までは商品やサービスを『所有』していたものが、『利用』へと変化しました。
今までは、商品やサービスを1回購入したら終わりという流れが当たり前でしたが、現代では、1つの商品・サービスを継続的にリピートするケースが増えているため、LTVを最大化することが重要視されるようになったという背景があります。
また、LTVを構成する5つの要素を意識してビジネスを目指すことで、『顧客満足度の向上』にもつながり企業が継続的に利益を拡大することができます。
・平均顧客単価
・購買頻度
・継続購買期間
・新規顧客獲得費用
・顧客維持費用
顧客の購買行動が変化している現代だからこそ、顧客離れが起こらないように「顧客とのコミュニケーション」や「役に立つ情報発信」を定期的に行う必要があります。
LTVを最大化・向上させる目的とは?
BtoB・BtoCなどのサブスクリプション型の市場・事業に必ず導入されているLTVですが、数値を向上させ最大化を図るとどのような結果になるか気になる方も多いと思います。
ここでは、LTVを向上・最適化をなぜ行うのかについて説明します。
安定した収益を確保する
市場の成長期は安いコストで新規顧客を獲得することができますが、成熟した市場においては新規顧客獲得が難しくなるため、企業が安定した利益を創出するには、既存顧客との関係性が重要になります。
そのため企業は既存顧客に対して、どのようにアプローチしていくかが重要になっていきますが、その際にLTVの指標が役立ちます。
顧客との良好な関係を築く
LTVが高い状態とは、既存顧客との良好な関係性を築いている状態という「事実」になるため、LTV向上は企業にとって重要な取り組みです。
既存顧客から選ばれる、満足度の高い商品やサービスを管理・提供し、顧客との信頼関係を適切に構築していくことが大切です。
LTVを最大化させる方法とは?
前項ではLTVの最大化が重要視されるようになった背景をご紹介してきましたが、マーケティング・さぶsビジネスに取り組んでいる方の中には、「具体的にLTVを最大化させるにはどんなことをしたらいいの?」「何を改善したらLTVが向上するの?」など多くの疑問があると思います。
LTVは、以下の計算式でデータを算出することができます。
そこでここからは、LTVを最大化させる方法を紹介するので、LTV向上を念頭に置いたマーケティングを行う際の参考にしていただければ幸いです。
方法①平均購買単価をアップさせる
LTVを最大化させる方法の1つ目として、平均購買単価をアップさせることが有効的です。
つまり、商品・サービス価格の見直しです。
値上げできそうな商品については値上げを実施し、単に値上げを行うだけでは顧客に不安を抱かせてしまい、逆に解約や離脱につながりかねません。
LTVを向上させる際、一番の課題となるのがこの『平均購買単価』で、顧客が支払う1回の購入金額を高めることで、短期間の利益率アップが見込めます。
平均購買単価をアップさせる方法として、「値上げによる利益率の向上」が思いつきますが、その方法以外にも関連商品を提案する『クロスセル』、より上位の商品を購入するように促す『アップセル』といったマーケティング手法を取り入れることが重要です。
・クロスセルとは・・・顧客が購入しようとしている商品と別の商品を提案し、購入を検討してもらうマーケティング手法のことを指します。または、顧客が購入しようとしている商品とセットで使うことのできる商品の購入を促すことです。
・アップセルとは・・・顧客が購入した商品と同種のモノで、「より上位のもの(高いグレードのもの)」を提案し購入してもらうマーケティング手法のことを指します。アップセルを行うことで顧客数を増やすことなく総売上額を拡大することができます。
アップセル・クロスセルで平均購買単価を上げるためには、商品・サービスに関して様々な知識と経験が必要で、顧客のライフスタイルや趣味趣向などを分析し顧客一人ひとりに寄り添った対応をすることが重要です。
方法②購入頻度をアップさせる
LTVを最大化させる2つ目の方法として、購入頻度をアップさせることが有効的です。
LTVにおいて購入頻度をアップさせるということは、購買間隔を狭めることを指します。
もし自社で提供している「10,000円のサービスを年に1回利用する顧客」と「5,000円のサービスを年に5回利用する顧客」がいたとすると、一見前者の顧客の方が上位のサービスを利用していることから『優良顧客』であるという判断ができそうですが、実は後者の顧客の方がアクティブで顧客生涯価値が高いことが分かります。
方法③購買期間の長い顧客を増やす
LTVを最大化させる3つ目の方法として、購買期間の長い顧客を増やすことが挙げられます。
顧客が継続して商品・サービスを利用しているということは、顧客が自社商品やサービスに対して顧客ロイヤルティが高いという証明になり、利益拡大に大きな影響を与えます。
自社商品やサービスの『ファン』になった顧客は、競合他社へ乗り換えるリスクも低いことから、顧客の基盤を作っていく上でファンはとても重要な存在です。
また、購買期間を最大化するためには『定期的な情報発信』『顧客とのコミュニケーション』『細かなアプローチ』を根気強く続けていくことが重要です。
自社商品やサービスを継続して利用できるような環境を整備してあげることも、LTVを最大化させるためには必要です。
上記3つの方法に共通して言えることは、顧客の課題を的確に把握して、具体的な戦略を考えることが大事ということです。
方法④粗利率の向上
LTVを最大化させる4つ目の方法は、商品やサービスの契約期間などの取引期間を延ばすことで、これはコストをあまりかけずに行うことができます。
また、購買頻度とは違いコントロールしやすいのが特徴で、顧客に価値を感じてもらうことができ、最終的には顧客ロイヤリティを高める(愛着をもち、ファンになってもらう)ように期間延長とともに取引の魅力が向上させましょう。
方法⑤顧客の獲得・維持コストを抑える
最後に紹介する方法は、顧客の獲得・維持コストを下げることです。
具体的には以下の2つが挙げられます。
- 広告配信の最適化
- 顧客単価に応じたアプローチ
広告配信の最適化とは、広告による注文や申込などの獲得数などの、コンバージョン率(Conversion Rate、CVR)の良い状態に整えることを指します。
このCVRを改善するために、顧客の立場で状況を把握し、広告から購買までの道筋を見直し、ボトルネックになっている問題を確認・改善しましょう。
- 広告のターゲットを絞り込む
- 広告媒体の見直し
- 広告内容を改善しキャッチコピーやデザインを目立たせる
- 広告からの導線の見直し
- ランディングページを見直し、CTA(Call To Action)をより明確にする
また、顧客単価に応じたアプローチも大きな効果を見出せます。
顧客単価の高い顧客に手厚いアプローチを行うと、大きな成果に結び付く可能性が高く、最も重点的にフォローをすべき対象です。
一方で、顧客単価が向上する見込みのない顧客については特別な販促を行わないなど、費用対効果を考えてメリハリのあるアプローチを行うことで、コスト削減につながります。
LTVの最大化に成功している企業の特徴は?
LTVが高い企業であればある程、今後の売り上げ向上が見込めますし、何より購入してくれた顧客が商品やサービスのファンになることで継続して安定した利益を得ることが可能になります。
そこで以下よりLTVが高い企業の特徴を紹介・解説していきます。
特徴①顧客管理の徹底
まず、LTVが高い企業は『顧客管理』を徹底しているという特徴があります。
顧客管理をするだけでなく顧客一人ひとりを分析し「顧客が今どんな商品やサービスを求めているか」「どんな商品をよく購入しているのか」を理解することで顧客に対して的確なタイミングで最適な商品・サービスを提案することができます。
このように顧客管理をして顧客が何を求めているかを理解するために『CRM(Customer Relationship Management/顧客関係管理)』という手法を用いることが重要です。
そこでおすすめしたいのが『CRMツール』で、Microsoftが提供している「Microsoft Dynamics 365」、顧客情報を元にした指針を立て顧客との関係性をより強固なものにできる「Oracle CRM」、社内の名刺をスマートフォンやPCで一括管理できる「sansan」などさまざまなCRMツールがあります。
これらCRMツールを活用することで、営業担当者が日々収集した顧客データ・商談データを1つのデータベースに保存し、全社で共有でき、良好な顧客維持を図れます。
また、おすすめなCRMツールに関しては、こちらの記事をご参照ください。
特徴②特定の企業しか作れない商品・サービスの提供
次に、特定の企業でしか作れない商品を提供している企業はLTVが向上しやすいという特徴があります。
顧客が自社の商品・サービスに対してファンになるようにするためには、競合が多いジャンル・商品だと消費者が購入する企業を選ぶことができるので売り上げ向上の見込みが下がります。
特定の企業のみが作っている独自サービスや商品には『競合相手がいない』というメリットがあり、自社ブランドが確立すると商品を定期的に購入してくれるファンが増えるので売り上げ向上が見込めます。
特徴③商品やサービスのファン化
次に、ファン化ができているという点が挙げられます。
ある特定の商品・サービスにファンがいる、企業・ブランドにファンがいると継続して安定利益を得ることができるようになります。
LTVは、『顧客生涯価値』のことを指すと説明しましたが、LTVの高い顧客はいわゆる『リピーター』ということになります。
例えば、ある飲料水を飲み「これ美味しい!また買おう!」と思ってくれる方がリピーターです。
このような顧客を増やすことで定期的に商品を購入してもらえるため、結果として安定した利益を継続的に得ることができます。
特徴④顧客にとって魅力的な商品やサービスを継続的に提供している
LTVが高い企業は、当然ながら顧客にとって魅力的な商品やサービスを常に提供しています。
企業は同じ商品を販売しているだけだと競合他社に負けてしまい、顧客離れが起こる可能性があります。
そこで人気商品または人気が全くない商品を常に改良し、より良い商品を作り続けていくことが重要です。
それはサービスでも同じで、顧客にアンケートを取り顧客から届いた意見や感想などを反映させ、より良いサービスを提供することでLTVが向上し売り上げアップも期待できます。
特徴⑤徹底したアフターフォロー
アフターフォローが丁寧でしっかりしているという特徴があります。
例えば、商品を購入した顧客に対し「商品の使用感」や「商品を使って困ったことはないか」などを伝えるメール配信をしたり、顧客一人ひとりに対して最適な「商品の提案」「お得情報」などを定期的に配信することで自社を再認識してもらえる機会を作り出すことができます。
このようにアフターフォローの質を見直すだけで、商品の「購入頻度の増加」や「継続的な購入」につながります。
LTVを最大化させるメリットとは?
LTVを最大化させる方法をご紹介してきましたが、ここからはLTVを最大化させるメリットを紹介していきます。
サブスクビジネスやマーケティングを行う際はLTVを重要視することで、継続して安定収入を得ることができるようになりますが、「実際LTVを最大化させるとどんなメリットが得られるの?」「最大化させる理由はあるの?」という疑問が生まれると思います。
そこで以下より、LTVを最大化させるメリットを記載しました。
メリット①営業・マーケティングコストを抑えられる
LTVを最大化させることで、営業・マーケティングコストを抑えられるというメリットが挙げられます。
先ほど『1:5の法則』について触れましたが、新規顧客獲得は既存顧客の維持よりも5倍のコストがかかり利益率も悪いため容易ではありません。
しかし既存顧客の維持に努め、既存顧客の『継続購入期間を延ばす』ことで、利益を最大化しかつ営業・マーケティングコストを抑えることができます。
メリット②安定した利益が得られる
LTVを最大化させることで、安定した利益を得ることができるというメリットがあります。
安定した利益を得るために、既存顧客の継続購入期間を延長し自社商品やサービスを使い続けてもらうことが重要です。
また、LTVを最大化することで営業・マーケティングにかかるコストを低額に抑えることができ、余ったコストを『新規顧客開拓』や『新商品の研究・開発』の費用として活用できます。
メリット③優良顧客の傾向を掴み売り上げを伸ばせる
LTVを最大化させることで、優良顧客の傾向を掴み売り上げを伸ばすことができるというメリットがあります。
思考法・マーケティング用語として知られる『パレートの法則(20:80の法則)』によると、顧客全体の上位20%の顧客による売り上げが、売り上げ全体の80%を占めているとされています。
・パレートの法則とは・・・「20:80の法則」とも呼ばれていて、全体の80%の数値は、全体を構成する20%の要素が生み出しているという法則を指します。例えば、いつも着ている服の80%は持っている服の内、お気に入りの服の20%であるなど身近なもので例えることができます。
上記の法則を用いると、優良顧客の傾向を掴み、優良顧客と同じような傾向を持つ新規顧客を開拓することで、さらに売り上げを向上させることにつながります。
LTVの最大化に『CRM』が欠かせない理由とは?
ここまで、LTVを最大化させる方法やメリットなどを紹介してきました。
ここからは、LTVの最大化に欠かせない『CRM』を紹介・解説していきます。
・CRMとは・・・英語では「Customer Relationship Management」で日本語では『顧客管理』『顧客関係管理』のことを指します。顧客を中心に考えてビジネスを展開し、利益の最大化を図るマネジメント手法を意味します。
CRMについてもっと詳しく知りたい方は、以下記事をご覧ください。
近年、スマートフォンやタブレットが普及したことにより、顧客一人ひとりの購買行動に変化が表れていることから、顧客一人ひとりに寄り添った対応が必要になりました。
LTVを最大化させるためにも、顧客一人ひとりに寄り添った対応が重要で、個々の顧客に対して最適な商品・サービスを提案・提供するために「顧客管理」「顧客分析」を行える『CRM』が大きな効果を発揮します。
まとめ
ここまで、「LTVの最大化が重要視されるようになった背景」「LTVを最大化させる方法」「LTVを最大化させるメリット」を紹介してきました。
LTVの最大化が重要視されるようになった背景には、「インターネット」「スマートフォンやタブレット」の普及により、顧客個人が様々な情報を取得できるようになり、情報の多様化が進んだという理由があります。
そのため顧客離脱を防ぐために、LTVを最大化させ自社商品やサービスを継続利用してもらうことが重要になりました。
また、LTVを最大化させることでコストを抑えることができ、安定して利益を増やし続けることができます。
この先、サブスクビジネスを展開する方やマーケティングを行う方は、顧客を「郡」で見るのではなく「個」で見るようにしましょう。
当記事では、LTVの定義や収益などさまざまな数値との関係、企業が導入しどのように数値を高め、成功している事例などについて解説していますので、これから導入を検討している方に役立ちますのでぜひ参考にしてください。
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