ひと昔前までの市場においては、大量生産・大量消費をベースにしたマーケティングが展開されていました。しかし、これまでの企業の発展を支えたそのような時代は終焉を迎えたと言えます。
現代ではインターネットの普及により消費者も商品の購入やサービスの利用に慎重になりました。多様化・細分化された人々のニーズに応えられる製品以外は淘汰されていく状態にあるのです。
そこで多くの企業が注目しているのがCRM(顧客管理システム)です。CRMを導入すれば、顧客情報の可視化や業務の効率化に役立てることができ非常に便利です。
そのため、新規顧客の獲得や既存顧客の優良化を行う上でメリットがあるツールと言えるでしょう。
ただし、導入時に気になるのは初期費用やランニングコストではないでしょうか。
そこで、当記事ではCRMのシステムを導入する際の費用やCRMを使った顧客管理をする際の注意点、無料で導入できるCRMについて具体的に解説していくので、これからCRMの導入をお考えの方はぜひ参考にしてみてください。
クラウド型CRMの費用相場

インターネットを通じ、クラウドのシステムを利用するタイプのCRMをクラウド型と言います。
クラウド型のCRMはWEB上でアカウントを登録すればオンラインで自由に利用可能です。
クラウド型のCRMを導入するメリットとしては次のようなことがあります。
- 専門的なIT知識を持っていなくても、運用することができる
- 初期費用を削減できる
- スマートフォンなどでも気軽に使用することができる
このように、導入の手軽さやネット環境さえあれば簡単に利用可能な点がクラウド型CRM魅力と言えるでしょう。ただし、同じサービスが関係会社にも提供されるため、独自性に欠けるという注意点もあります。以下ではそんなクラウド型のCRMに掛かる費用について詳しく解説していきます。
クラウド型CRMに掛かる初期費用とは?
クラウド型CRMの初期費用は一般的に無料〜5万円ほどと言われています。初期費用をかなり抑えることができるのは大きな魅力でしょう。
これほどコストが掛からない理由には、運営会社によってシステムが提供されることが要因しています。
自社でシステムを開発する必要がないため、設計や開発をするコストを削減することができるのです。
初期費用が無料のものや初月の利用が無料のサービスを選択すれば、コストをかけずに導入できる場合もあります。
クラウド型CRMのランニングコストとは?
クラウド型CRMにおいては利用するユーザーに対して料金が発生することになります。
つまり、会社の従業員の数×月額料金という形で計算することが可能です。(サービスによっては年額単位で設定されている場合も)
その相場は機能によっても異なります。月額100円〜で利用できるツールもあれば、性能の充実しているツールでは月額10,000円〜という価格設定の場合もあるようです。
もし、月額1,000円のものを従業員30人で使用した場合には、月に30,000円のコストが発生することになるでしょう。
ただし、どのようなサポートを受けるのかによって料金は異なります。用途に応じてプランを選択することが大切です。
オンプレミス型CRMの費用相場
オンプレミス型CRMとは社内に設置されたサーバーにアプリケーションをインストールして利用するCRMのことです。上述したクラウド型CRMと比較すると、導入の面やネットの利用において異なった特徴があります。
オンプレミス型CRMでは自社内に専用サーバーを設置しなければならないので、初期費用が掛かります。
また、クラウド型は基本的にどこでも利用することができましたがオンプレミス型では自社サーバーでの利用になるため、社外でのシステム利用はできません。
ただし、オンプレミス型CRMでは以下のようなメリットがあります。
- セキュリティ面を充実させることができる
- 会社の状態に応じてカスタマイズ可能
- ネット環境がなくても利用できる
- 長期的な期間で見ると費用が掛からない
以下ではそんなオンプレミス型CRMの費用について紹介していきます。
オンプレミス型CRMに掛かる費用とは?
オンプレミス型CRMではクラウド型とは異なり、一概に初期費用とランニングコストという区切りで分けることができない部分もあります。
月額でいくらの利用料が掛かるというよりは、その時の状況に応じて見積もりが必要な場面が多いです。
相場としては50〜215万円程度(従業員20人で運用する場合)のコストが必要になるでしょう。
オンプレミス型CRMに必要になる費用の内訳としては以下のようになります。
- サーバーの設置費用(5万円程度)
- ライセンスの発行費用(利用者1人につき2万〜10万円程度)
- パッケージ料金(5〜10万円程度)
- 年間の保守費用(5〜30万円程度)
ただし、こうした費用は会社の規模や環境により違いが生じます。
そのため、しっかりと計算した上で見積もりを出してもらうようにしましょう。
オリジナルCRMの費用相場
このほかにも、自社に合わせたオリジナルCRMを外注したい場合もあるでしょう。
オリジナルのCRMを外部の会社に依頼する場合には、100〜115万円程度の費用が必要になります。
また、オリジナルCRMを導入する場合には、自社の用途に合わせた仕様要件の設定やシステム開発が行われます。
大まかな流れとそれぞれの費用の内訳は以下の通りです。
仕様要件の確定(20〜25万円程度)
解決したい課題に応じてシステム概要などを企画書にまとめてもらいます。
開発の目的や背景、利用人数など、システム上の重要なことを確定する段階になります。
工数としては約5人日と見積もる場合が多く、1人日あたり4〜5万円ほどになるので、20〜25万円程度必要になるでしょう。
システム開発(60〜75万円程度)
設計された仕様書に沿ってシステムの開発や構築を行う段階です。
開発チームを編成し、プログラミングによって機能やUIなどを実装します。
こちらの工数としては15人日程度となる場合が多く、1人日あたりを4〜5万円程度と仮定すると60〜75万円程度の費用が発生するでしょう。
機能テスト・改修費用(15万円程度)
システム開発が終了すると、機能のテストや問題が発生していないかのチェックを行います。
改修が必要になる場合にはその分の費用が必要になるでしょう。
こちらの工数としては5人日程度になることが多く、1人日あたりの費用を3万円程度と仮定すれば、15万円程度の費用が必要になります。
CRMを導入するメリットとは?

上記ではCRMを導入する際の費用についてそれぞれ解説してきましたが、実際に導入するメリットとはどのようなものでしょうか。
CRMは現代の市場において非常に効果的なツールです。以下では、導入するメリットについて詳しく解説していきます。
顧客情報を一元的に管理することができる
ひと昔前までは、顧客情報はそれぞれの担当者によって管理されていました。
このように属人化した状態は既存顧客の満足度を充実するという面においては非効率なものと言えます。
顧客情報が属人化された状態にある場合、例えば特定の顧客からの問い合わせがあった時に担当者が不在で対応できないケースが発生するでしょう。
現代ではこうした状況が問題視されており、会社内部の部門が一つのチームとして機能することを求められているのです。
CRMを導入すれば部署ごとだけではなく社内全体で顧客データを共有することが可能になり、顧客情報を自動で管理することができます。
そのため、社内の誰が対応しても同じサービスを提供することが可能になるのです。
顧客満足度を向上させることができる
上記のように顧客情報を部門間や社内で共有することができれば、顧客対応がスムーズに行えます。
電話などで問い合わせがあった場合にも顧客データを検索して迅速に対処することが可能で、顧客が不満を感じる場面を減らすことにつながるでしょう。
また、蓄積された顧客データを分析すれば顧客のニーズを知ることもできます。
例えば購入している商品の分野や購入時期などを分析し、適切なタイミングで提案することも可能です。
このように、適切な対応やニーズの把握によって顧客満足度を高めることができる点も、CRMを導入するメリットと言えるでしょう。
業務の効率化につなげることができる
業務の効率化を行うことができる点も、CRMを導入する大きなメリットの一つです。
上述したように、CRMを活用することによって膨大な顧客情報を正確に一元管理することが可能になります。
既存のサービスであれば異なる部署間においては情報共有の面で連携不足が発生することもありました。
しかし、CRMは部署をまたいで連携することができます。
そのため、情報をスムーズに共有することが可能になり、結果として業務の効率化につながるメリットがあるのです。
CRM導入時のデメリットとは?
CRMを活用すれば顧客情報の管理や営業活動など様々なビジネスシーンでメリットがありますが、利用する上ではデメリットも存在しています。
良い部分だけではなく、注意すべきポイントについても事前に把握しておきましょう。以下ではそれぞれについて解説していきますので、参考にしてください。
ランニングコストが発生する
上述したように、導入することで多くのメリットがあるCRMですが、ランニングコストがかかることも忘れてはなりません。無料ツールを利用する場合には基本的に料金は発生しませんが、充実した性能を使いたいのであれば有料版になることが多いと思います。
もし、コストをあまりかけたくないのであれば、導入するツールの価格をしっかり確認しておくことが大切です。
また、1つのツールだけではなく他のツールと比較してみるなど、いくつか候補を検討してみると良いでしょう。
システムの定着まで時間が掛かる
新たにCRMを導入する場合には、既存のシステムとの違いに混乱する社員も多いかもしれません。
そのため新しく導入したシステムに社員が慣れるまではある程度の期間が必要になるでしょう。
導入されたツールが複雑なものであれば、使用するのに抵抗感を感じる方もいるはずです。
このようなことに対応するためには、サポート体制の充実やマニュアルをわかりやすく作成する必要があります。
成果を出すまでに時間が掛かる
成果が出るまでに即効性がないことも、デメリットの1つです。CRMの主たる目的には優良顧客の育成や顧客満足度の向上があります。
こうしたことを成果として実感するまでには、それなりの時間が必要になるのです。
そのため、すぐさま結果にむすびつかないこともあらかじめ押さえておきましょう。
ただ、社内でもシステムが活用され、仕事の生産性を高めることができればこれまで以上に売上や受注数の増加が期待できます。
ある程度結果が形になるまでは、手間かもしれませんが運営する側が率先してシステム利用を促進することが求められるでしょう。
CRM導入までの手順とは?
実際にCRMを導入する手順とはどのようなものなのでしょうか。
CRMを上手く活用することで顧客情報の資料をまとめることができたり、営業活動に役立てることができます。
ただ、導入を失敗させないためにはサポート体制の確立や支援などが重要になるでしょう。
あらかじめ大まかな導入のプロセスを把握しておけば、効率的に計画を進めることが可能です。
以下では、CRMの導入手順について1つずつ解説していきます。

CRMの導入目的や目標を確認
CRMの導入には、まず目的や目標が何なのかを確認することが大切です。
目的に合わせたシステムを選ぶことができなければ、そもそも導入するコストが全て無駄になってしまうでしょう。
事業の拡大や顧客の満足度向上などの成果をあげるためには、目的や目標の確認を徹底することが大切です
。導入前にお客様情報や自社の課題を明確にし、目的や目標確認を徹底するようにしましょう。
なぜCRMを導入するのか社内で共有する
目的や目標の確認ができれば、CRMをなぜ導入するのかについて会社内で共有しましょう。
CRMの効果を最大限に高めるためには、社員間の連携が欠かせません。
あらかじめ導入の目的や意図を共有しておくことによって、よりスムーズに運用することが可能になるでしょう。
共有の方法は様々ですが、すでにCRMを導入している他の企業の事例や実績などを用いてセミナーのような形でノウハウを共有するのも選択肢の一つです。
CRMの活用によって見込み客の発見や顧客満足度の向上につながることが社員全体で共有できれば、システム導入への理解も得られるでしょう。
CRM専門のチームや担当者の選定
システムの導入にあたって、専門のチームや担当者を選んでおくとより効果的に運用することができます。
特に、システム導入当初には細かいデータ項目の入力などを行わなければなりません。
そうした状況で専門の担当者がいなければ、ツールの使い方や操作の手順が分からず作業が止まってしまう可能性が高いでしょう。
また、各企業の状況に応じてカスタマイズを行う必要もあります。どのように詳細な設定を行えば良いかを考える人も用意しておけば、効果的な運用を行えるでしょう。
このようなことから、システム導入時には中心となるチームや担当者を設定しておくことで、スムーズに導入を実施することが可能になります。
導入するCRMツールを選ぶ
社内で情報の共有や担当者などが決定すれば、実際に導入する上で最適なCRMツールを選んでいきましょう。
現在ではCRMツールも多様化しており、豊富な種類の中から自社のサービスや業種に応じて適したサービスを利用することができます。
もし、どうしてもツールを選ぶことができなければ、まずは無料版のツールを試してみても良いでしょう。
複数のツールを吟味した上でより良いものを有料版としてアップデートするのも選択肢の1つです。
CRMシステムを選ぶ際に意識すべきこと
ここまでCRMの種類や具体的なメリットについて解説してきました。
ただし、さまざまなツールが存在しており、どのような点に着目して選ぶべきか分からない方もいらっしゃると思います。
もし、これからシステムの契約を検討される場合には、次の内容に注目してツールを選んでみてください。
1.あらかじめ設定した目的や目標達成に必要な性能が備わっているか
2.社内の従業員にとって使いやすいシンプルなサービスであるかどうか
今後、システムを導入するにあたって着目しておかなければならないのは、目的の達成や業務の効率化に向けて有用なものかどうかということでしょう。
目的にそぐわないツールを活用しても、会社に利益をもたらしてくれる可能性は低いと言えます。
そのため、設定した目的や目標に照らし合わせてシステムを選択することが大切です。
また、実際にシステムを利用することになる社員のITリテラシーにも注意する必要があります。
優れた機能を有したツールを準備しても、社員が効果的に使えるようにならなければ無駄になってしまうでしょう。
こうしたことから、利用者の声に耳を傾け、使用する人の視点に立って検討することが重要になります。
システムの選び方は難しい部分ですが、利用者に寄り添った姿勢が求められるでしょう。
まとめ
今回は、CRMを導入する上で必要になる費用を中心に解説してきました。CRMを活用することによって顧客情報を一元的に管理することや、業務の効率化、営業管理などに役立ちます。
関連する部署だけではなく、会社内部で一通りの情報を共有できるため、仕事上のあらゆる場面で役立てることができるでしょう。
ただし、導入する場合には初期費用やランニングコストが発生する点はあらかじめ押さえておかなければなりません。
また、CRMにもいろいろな種類があり、どのタイプを使うのかによっても費用が異なります。
今回の記事に記載したことを参考にどれほどの予算が必要になるのか把握し、導入するかどうかを検討するようにしましょう。
コメント