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【2023年最新】CRMとは?CRMの機能や導入のメリット、なぜ多くの企業で導入が始まっているのか徹底解説!

『CRM』とは、様々な視点からのパーソナルデータを社内で蓄積・分析・共有し、顧客に対するアプローチを最適化させるためのマーケティング手法のひとつです。

近年、世界中で消費者のニーズが多様化・細分化する中で、顧客のことを正確に理解し、最適な戦略を打つことが年々難しくなってきてる中、トヨタやNEC、JA全農などを始め、各方面の多くの企業で『CRM』の導入が注目されています。

当記事ではCRMの意味・活用法や、CRMとSFAの違い・MAとの関係性、CRMのメリット、『CRM(Customer Relationship Management)』の「顧客関係管理」や「CRMとは?」という疑問を初心者の方にもわかりやすく解説していきます。

目次

CRMとは?

CRMとは?の画像

『CRM』とは、英語表記で「Customer Relationship Management」(カスタマー リレーションシップ マネジメント)の頭文字をとった略語で、日本語に直訳すると「顧客関係管理」(顧客管理)という意味になります。

一般的に『CRM』は、顧客管理システムのITツールとして認識されがちですが、『CRM』が持つ本質的な意味は「顧客を中心に考えてビジネスを展開し、良好な関係を構築することで利益の最大化を目指すマーケティング手法」のことを指しています。

現在は、『CRM』というマーケティング手法を導入するための様々なアプリケーションツールやITツールが存在しているため、初めて『CRM』と聞いた方は「顧客関係管理ツール」=「CRM」と思われがちです。

「顧客関係管理ツール」=「CRM」という認識でも大きくは間違いではありませんが、『CRM』とはマーケティング手法としての概念であり、「『CRM』を実現するために「顧客関係管理ツール」が数多く存在している」が正しい認識になります。

CRMの概念

ここから『CRM』の概念について解説していきます。

前述で述べた通り『CRM』とは、「顧客を中心に考えてビジネスを展開し、良好な関係を構築することで利益の最大化を目指すマーケティング手法」を指します。ですが、ここで『CRM』の概念について以下の様な疑問が出てくるかと思います。

「顧客を中心に考えるとは?」
「良好な関係を構築するとは?」
「どう利益の最大化につなげる?」

実は『CRM』=「顧客関係管理」「顧客管理」という概念自体は日本でも、江戸時代から存在しています。大福帳などもCRMの概念と本質的には同じものと言えるでしょう。

まず、順を追って説明すると「顧客を中心に考える」という疑問については、基本的に「商い」とはお客様がいてはじめて、成立するものです。

顧客視点に立って、顧客は何を必要としているのか?というニーズを考えるフェーズからはじまります。

もちろん斬新で独創的な商品を売り出して、ニーズをつくり出すという方法もありますが、その場合でも、どんな人が買ってくれるのか?年齢、趣味、性別などからターゲットがはっきりしていて、自然と世の中の情勢やトレンドにマッチしていることがほとんどです。

次に「顧客との良好な関係を構築」とは提供するサービス・商品を売った後のお問い合わせやクレーム対応などのアフターサービスもCRMの概念においては大切になります。

CRMでは、お問い合わせやクレーム内容のデータを蓄積・分析・共有することで、商品やサービスの改善や的確な顧客対応につなげることで顧客の満足度を向上させようという考え方です。

最後に「どう利益の最大化につなげるのか?」という疑問について、CRMの導入により、顧客のニーズの把握や顧客の満足度などの可視化が可能になります。

そのため自社の経営方針にあっているのか?商品・サービスはニーズに適合しているのか?顧客の満足度に問題はないか?などの改善やムダをはぶくことで利益を最大化させましょう!というのが『CRM』の概念です。

CRMの歴史

『CRM』は1990年代から情報化社会の変化に伴って生まれ、ITと組み合わせることで、独自のシステムとして普及してきました。現在でも「ドックイヤー」と比喩されるほど急速に発展を続けるIT技術とともに『CRM』も日々進化を続けています。

ここから年代別に『CRM』がどのような変化をしてきたのかを追っていきましょう。

1990年代前半|CRMの認知

インターネットの誕生と普及が顕著になった1990年代前半ごろ、コンピューター上で顧客情報の管理ができるシステム、いわゆる『CRM』という概念ができ、導入する企業が増えてきました。

ですが、歴史を振り返ると顧客情報の管理を行い顧客に合わせて戦略を考える『CRM』という考え方は大昔から存在しています。

例えば、江戸時代の大福帳もその1つにあたります。お客様との取引明細を記録し、お得意様を丁寧に扱ったり、売れ筋をもとに品揃えや商品の改良を行うことで、顧客の満足度を上げていました。

では、なぜ1990年代前半に『CRM』というマーケティング手法が世の中に普及し始めたのか?それは以下2つの背景が大きく関係しています。

情報化社会へのシフト

『CRM』が世の中に認知された一つ目の背景として、情報化社会へのシフトがあげられます。

既存の汎用コンピューターで記録・構築していた会計システムや販売管理システムから、お客様に関するデータだけをフォーカスしてダウンロードして、営業活動に運用する企業が現れはじめました。

お客様の購入履歴や傾向、時期、販路などを分析して、キャンペーンなどのプロモーションを行ったり、お客様のセグメントに合わせて提案する商品の選定をおこなっていました。当時はダウンサイジングやオープン化も重要なキーワードとなっており、これらの技術を『CRM』と統合して情報を活用することが可能となったのが理由の1つです。

オープン化とは?オープン化とは、オープンでなかったものをオープンにすること。ITの分野では、仕様や設計などを公開したり、公開された標準仕様を元に製造された製品を採用することなどを指すことが多い。

バブル経済の崩壊

『CRM』が一般的に普及し始めた背景の2つ目が、バブル経済の崩壊です。

2021年現在では、日経平均株価が1990年8月以来初めて30000円台に回復しましたが、高度経済成長時の日経平均株価は最高値38915円とバブル時代を知らない世代では、想像もできないほど景気が良かったのです。

しかし、それまで飛ぶ鳥を落とす勢いで拡大してきた国内市場がバブル崩壊により一気に冷え込み、日本はそこから出口の見えない不況のサイクルに突入していきました。

顧客の財布のひもは固くなり、その中で生き残るためには、一人ひとりの顧客を大切にすることが重要となったため顧客情報の活用、すなわち『CRM』の概念を取り入れることが不可欠となりました。

1990年代後半|マーケティング手法としてCRMが確立

顧客情報を管理・活用する考え方に徹底的な影響を与え、CRMの概念をマーケティング手法として確立したのが、アンダーセン・コンサルティングによる『CRM-顧客はそこにいる』という書籍です。

『CRM-顧客はそこにいる』という書籍では、コールセンターやインターネットなどの新しいチャネルをベースに、ITを活用してお客様との関係を構築していく考え方を提唱しています。

これまでの生産者主導でマス(大衆)に向けたマスマーケティングに変わり、One to Oneの顧客対応の重要性が増した時期になります。

マスマーケティングとは?マスマーケティング(Mass marketing)とは、見込客のセグメントを行わず、すべての見込客(消費者)を対象に、画一化された方法を用いて行うマーケティング活動のことを指します。

そして、このOne to Oneの顧客対応の要となるのが顧客のデータベースです。

お客様の属性(性別、年齢、住所、電話番号、購買履歴、お問い合わせ、etc…)などのデータをクラウドで蓄積・分析・共有することで、お客様個々に合わせた提案をしたり、お問い合わせに対してスピーディーな対応が可能となったことから、顧客の満足度の向上に大きく影響をあたえました。

このCRMの概念が日本にもわたり、日本国内でも多彩なCRM「顧客関係管理」のパッケージ開発・導入が大企業を中心に多くの企業が採用を始めました。

2000年代|CRMとSFAの統合システム化

2000年代後半にさしかかると、IT技術の進歩はさらに加速し『CRM』の統合システム化という新たな変化が生じます。

前述で軽く紹介しましたが、『CRM』と同じような発展をたどってきた『SFA』というものがあります。SFAは「Sales Force Automation」(セールス フォース オートメーション)の頭文字をとった略語で、「営業支援システム」という意味合いをもっています。

この時期まではCRMとSFAは個別のシステムとして企業で利用されていましたが、2000年代後半以降は、CRMとSFAを連携し、顧客管理から営業支援までを一体化したCRMツールが登場しはじめました。

2010年代|最先端技術を駆使したCRMへ

これまでも、CRMの概念に基づいた顧客関係管理ツールでの顧客データの収集・分析・共有を企業内で行うことで、消費者の購買行動の傾向をつかみ、顧客満足度の向上に活用できていました。

しかし、2015年以降のディープラーニング(機械学習)やAIの処理精度が飛躍的に進歩し、これまで自社内でためた膨大な顧客データを分析・予想することが可能なりました。

ディープラーニングとは?ディープラーニングまたは深層学習とは、対象の全体像から細部までの各々の粒度の概念を階層構造として関連させて学習する手法のことです。

AI技術の発展の恩恵は、今まで気にもとめていなかった購買行動の特徴や未来の顧客行動の予想までもが、統計的に算出することができるようになりました。

このことから、CRMとAIを組み合わせることで、データの収集と顧客の購買行動の予測までもが可能になり、顧客一人ひとりに最適化したサービス・プロモーションを展開しやすくなりました。

また、近年誰もが1台iPhoneなどのデバイスをもち、5GやIOTなど常時オンライン化の時代が始まりパーソナルデータの収集環境が整ってきているため、CRMの重要性は今後ますます拡大することが予想されます。

CRMが注目される理由

近年、多くの企業がCRMの有用性に注目し導入を検討していますが、その理由は、CRMを導入することで顧客に最適化した商品やサービスを提供することで、見込み顧客の引き込みと既存顧客の満足度向上ができるようになるからです。

今やだれもが一人一台の携帯デバイスをもち、インターネット環境も5GやIOTなどにより常時オンライン化のための環境整備が整いつつあります。

現在では、「これがほしい!」と思った消費者は、自らスマートフォンなどの携帯端末で情報を取得し、比較検討した上で、ネット上でシームレスに購入できるため、顧客ニーズは急激に多様化しています。

このように顧客ニーズが急激に多様化する市場では、商品やサービスを提供する企業側は、今まで以上に顧客情報データの収集・分析を行い、目的と課題を整理することが重要になります。

顧客に関する定量的データや定性的データを人手で管理するにはかなりの時間と労力を必要とし、こういった収集が必要なデータのジャンルは今後さらに増えていくでしょう。

定性データとは?定性データとは、データ分析に用いられるデータのうち、数値化による把握が難しく、心理的・感覚的な判断を要するデータのことです。

さらに言えば、顧客データを収集したとしても分析して活用できなければ意味がありません。

CRMを導入することによって膨大な顧客情報の「収集・分析・共有」を自動化できるほかにも、データをもとに商品の最適化、購買行動の予測までもが可能になります。

ゆえに多くの企業がCRMを注目する理由は、急激に多様化する顧客ニーズの把握・適応をしなければ生存競争に勝ち残ってはいけないということを感じとっているからでしょう。

CRMとSFAの違いは?

現在は、『CRM』と呼ばれる「顧客関係管理」「顧客管理」を行うためのツールやITシステム、アプリケーションが数多くリリースされていますが、『CRM』と同じような発展をたどってきた『SFA』というものがあります。

SFAとは?『SFA』とは、「Sales Force Automation」(セールス フォース オートメーション)の頭文字をとった略語で、「営業支援システム」という意味合いをもっています。

「Sales Force」は日本語に訳すと「営業部隊」を意味し、営業部隊を「Automation」(自動化)することで営業マンたちの業務を幅広くサポートし、負担の軽減・効率化するためのシステム、それが『SFA』です。

『CRM』と『SFA』は重複する機能が多く混同されがちですが、コンセプトや利用目的、想定利用者などの点から本質は全く別のものであるので、導入を検討されている方は、抱えている課題と各ツールの機能を照らし合わせ選ぶことがポイントになります。

ここから『CRM』と『SFA』の役割と機能を簡単にご紹介していきます。

CRMの役割とは?

『CRM』は、部署や業務内容を問わず、社内で「顧客情報の管理」「顧客関係の管理」を目的とした機能が盛り込まれています。例えば、こんな課題をお持ちではありませんか?

「膨大な顧客情報を正確に管理したい…」
「顧客に関する情報を可視化したい…」
「顧客の情報を社内で共有・活用したい…」
「効率よく顧客にアプローチしたい…」

このように『CRM』を活用すれば顧客とのやりとりを細分化して記録・分析・共有し、それを社内で共有することが可能になります。

『CRM』の想定ユーザーは営業マンに限らず、マーケティング部門やカスタマーサポート、経理部門など社内全体で幅広く活用することを想定して設計されています。

『CRM』と『SFA』どちらも究極的な目的としては「業務効率化」「売上向上」という面で一致し機能も重複する点がおおいですが、どちらを導入すべきであるかは企業が抱えている課題によって異なるので、慎重に検討するようにしましょう。

名刺管理 顧客から受け取った名刺をスマホやスキャナーでデジタルデータ化します。テキストとして一覧表にすることも画像として蓄積することも可能で、入力の手間を省く他、紙の名刺と比べて検索性を各段にアップに役立ちます。
顧客管理 顧客の氏名、企業名、所属部署、過去の取引記録や商談進捗などをデータとして管理する機能です。入力したデータはネットワークを通じてチーム内にリアルタイムで共有され、組織の知見として蓄積されていきます。またこれらのデータを流用することで日報の作成や営業成果の分析などもスムーズに行なうことができます。
メール配信 顧客名簿と連動して、全員または特定の条件に該当する顧客だけにメールを配信できる。記載URLのクリック率なども調査可能。
アンケート管理 Webアンケートの制作、集計。回答を他の顧客データと連動させて利用することなども可能。
問い合わせ管理 顧客からのお問い合わせをデータとして蓄積、管理。顧客とのお問い合わせ対応やクレーム対応などのコンタクト情報を管理します。さらに、顧客データに属性を付与してカテゴライズすることも可能。

SFAの役割とは?

『SFA』はあくまでも営業支援システムであり、営業マンによる利用を想定して機能が盛り込まれています。例えば、こんな課題をお持ちではありませんか?

「1人1人の生産性を向上させたい…」
「成果が上がらない…」
「労働生産性を伸ばしたい…」
「営業活動の蓄積と活用を徹底したい…」
「行動の指針を決めたい…」

このように『SFA』を使えば営業マン1人1人の行動履歴や営業成果を管理・分析が可能で、アプローチするべき顧客の再確認、アプローチの仕方について明確な指針を出すこともできます。

営業部門における行動の効率化や目標の決定に高い効果を発揮することができるでしょう。

このように営業に関する業務管理や顧客情報を活用した営業戦略により、「業務の効率化や売り上げ向上につなげたい」という明確な課題解決に『SFA』は向いています。

名刺管理 自社と取り引きのある顧客・企業の基本的なデータや、商談の進捗等を蓄積して管理する機能です。
活動履歴 自社と関わりのある顧客に対して、過去にどのような商談を行なってきたか、どのような現状にあるか…といった状態を管理する機能です。
営業日報 営業組織においてよく行なわれている営業日報の作成・提出・閲覧をアプリケーション上で行なう機能です。
見込案件管理 営業マンが抱える各案件が現在どのようなステータスにあって、成約の確度がどの程度であるか…などの情報を記録・管理する機能です。
営業活動分析 各営業マンの行動を管理することによって、今置かれている状況を分析したり、次なる行動指標を決定するための機能です。
名刺管理 日々の商談で交換した名刺をスキャナー等でテキストデータに変換し、顧客名簿として管理する機能です。

CRM導入のメリットは?

ここまでCRMについてなんとなく理解していただけたかと思いますが、ここからは、「導入すれば具体的にどんなメリットがあるの?」ということについてご紹介していきます。

CRMメリット①社内全体で情報共有できる

CRMを導入すると、部署や職種に関係なく対顧客のデータや体験がネットワークで組織内に蓄積・共有されます。

日々の活動で蓄積された「どのような業種の企業にどのようなアプローチをしたら成約につながった…」、「このような性別、年齢、経歴、にあてはまる人は成約率が高い…」などの、社員一人ひとりが感覚値として持っている知識や体験に基づくデータは、社のメンバーの参考になることが多いはずです。

『CRM』による、こういったデータの蓄積・共有により今まで各々が感覚や経験に頼っていた部分をデータとして可視化し共有することで、経営のかじを取るためのおおきな武器となるでしょう。

CRMメリット②顧客情報の蓄積・分析ができる

『CRM』では、顧客データの蓄積と情報の管理がどのCRMツールにも基本的に備わている機能となります。

①属性データ 年齢、性別、居住地、趣味、家族構成etc…
②嗜好データ 価値観、性格、願望、課題、ライフスタイル、接触の多いメディアetc…
③ビジネス属性データ 業種、職業、部署、役職、年収、学歴etc…

これらのデータから顧客一人ひとりの個性や反応までも記録しその顧客が何を求め、自社の商品のどの部分に興味を持っているのか?またどこに不満があるのかを数値として可視化することができます。

顧客が持っているイメージが可視化できたら、ターゲットとなるセグメントに最適化することで、顧客への有効なアプローチができるようになるでしょう。

CRMメリット③行動履歴の蓄積・分析ができる

『CRM』では、営業担当者が各顧客にどのようにアプローチして、顧客がどんな反応をしたのか?という一連の行動履歴と結果を蓄積することもでき、そのCRMに蓄積されたデータを活用することで、PDCAを効率化することができます。

メリット① ②のデータも合わせて活用することで、営業マンが各顧客に対してどのようにアプローチすればよいのかの最適解を導き出すことも可能になります。

結果的に『CRM』は、データをもとにした有効な手段の選択と無駄な行動の削減につながります。

CRMメリット④顧客満足度を向上させることができる

CRMを導入する4つ目のメリットは、顧客満足度を向上させることができることです。

CRMシステムを用いることで、下記のような顧客情報を整理し、分析できるようになるため、顧客1人一人のプロフィールもしくは購買履歴に合わせたサービス提供を実施できます。

顧客属性 個人の顧客:氏名、住所、生年月日、性別など

法人の顧客:会社名、所在地、部署名、役職、担当者名など

購買履歴

購入した商品・サービス、購入日時、数量、価格など

収益性 購買頻度、予算、累計売上、購買予想など

顧客1人一人に合わせたマーケティングを行うということは、最適な商品・サービスを顧客に提供できるということです。

このような施策が成功すると、顧客との良好な関係性を構築できるので、自社商品・サービスを継続的に購入してもらうことができるようになります。

CRMメリット⑤適度なフォローとコミュニケーションで優良顧客へと育成できる

CRMを導入する5つ目のメリットは、適度なフォローとコミュニケーションで優良顧客へと育成できることです。

CRMに蓄積されたデータをもとに、既存顧客との良好な関係性を保つことで確実なフォローアップを行うことができ、効率的に営業活動を行うことができます。

もし自社商品・サービスを契約してもらった場合、そこで終了ではなく成約後も適度なコミュニケーションを取り、その時の内容や反応などをCRMに入力することで最適なタイミングで的確なアプローチを行うことができます。

的確なアプローチ・フォローアップが実現すれば、顧客が自社商品・サービスへの理解を深めることができ継続利用につながります。

また、人間の心理として、継続利用したものほど愛着を持ちやすくなり多少の問題が生じても利用し続けてくれるという特徴があります。

さらに営業担当者・企業の信頼度向上も期待でき、「あの営業担当者だから商品を購入した」「信頼できる企業だから購入した」というような選択基準が生まれやすくなります。

フォローアップのPoint既存顧客のフォローアップのポイントとして、『メルマガ配信をする』『FAQで顧客が抱える悩みを解決する』『お客様の声をつける』などが挙げられます。

CRMメリット⑥営業担当者の業務効率化につながる

CRMを導入する6つ目のメリットは、営業担当者の業務効率化につながることです。

クラウドサービスとして提供されているCRMの中には、スマートフォン・タブレットなどの『モバイル端末に対応』しているサービスがあります。

例えば、A社の訪問を終えたら移動中にA社で行った商談内容・商談結果をCRMに書き込みます。

そしてB社の情報をチェックし進捗状況を確認したら、上司・マネージャーからのアドバイスをもらいます。そしてB社との商談が終了したら商談状況・商談結果の日報をまとめて直帰します。

このようなモバイル端末に対応しているCRMツールを利用することで、外出先から商談内容・商談状況・手応えなどの情報を入力し、全社で共有可能です。

CRM導入のデメリットは?

CRMは、近年多くの企業が導入をはじめ成功事例も多く報告されていますが、CRMは決して欠点無しの万能ではありません。実際に導入するにあたってどんなデメリットがあるのかも以下でご紹介していきます。

▼CRM導入のデメリット

  • CRMデメリット①コストがかかる
  • CRMデメリット②データの蓄積が必要
  • CRMデメリット③タイムラグが起こる

CRMデメリット①コストがかかる

『CRM』を導入するという事は、ITツールやアプリケーションソフトなどを利用するため当然、運用するための金銭的なコストが発生します。

一般的にユーザーは1名につき〇〇円/月といったSaaS型の料金体系で、基本的に利用者数が増えるほどコストが増え、機能やCRMサービスを提供する企業によっても金額は上下します。

CRMを自社にはじめて導入しようと検討されているのであれば、いきなり高機能なツールを導入することはおすすめできません。

利用できる機能が増えると、もちろん運用コストも高くなります。はじめて導入する場合は、無料のCRMツールで試してみるか平均的な機能と価格のものを選び、利用者も少人数からスタートしましょう。

試験的に運用をはじめ慣れてきたら、自社の課題に合わせ高機能なCRMツールにシフトして見るのもよいでしょう。

CRMデメリット②データの蓄積が必要

CRM「顧客管理ツール」は導入した瞬間から利用できるわけではなく、一定量の顧客データを蓄積することにより最大限に活用することができます。

社内のexcelなどで顧客に関するデータを細かく記録していた場合は、今までに蓄積されている分のデータをCRMツールに移行すれば、0からデータの蓄積をせずともCRMを活用することができます。

もちろんCRMツールを使い、蓄積する顧客のデータを課題や目的に合わせて再定義する必要がありますが、情報が蓄積できればコスト補って余りある恩恵を受けることができるでしょう。

CRMデメリット③タイムラグが起こる

②でも述べたように、CRMは一定量のデータが蓄積されてやっと分析・活用ができるため、データの蓄積→分析→共有→活用という段階を経て、効果を確認することができます。

なので、効果を実感するまでにタイムラグが発生します。

効果が出るまで、CRMツールの利用コストや顧客データの移行、実際に顧客に対してアプローチを行うための人的コストの負担を辛抱しなければいけないという点がデメリットになります。

CRMのメリット・デメリットを理解したところで、実際にCRM導入におけるポイントを解説していきます。

CRM導入のポイントは?

CRMはただ顧客管理ツールを導入すれば早期に結果が出るわけではありません。

目標や課題を明確に設定することでCRMは最大限の効果を発揮し、進捗状況を確認するためのKPIの管理も重要な作業となります。

そこでここからは、CRMをどのように活用すればよいのか?目的設定や顧客へのアプローチまで導入のポイントを紹介していきます。

  • CRM導入ポイント①目的を明確にする
  • CRM導入ポイント②課題を明確にする
  • CRM導入ポイント③情報蓄積から共有する
  • CRM導入ポイント④まず既存顧客にアプローチ

CRM導入ポイント①目的を明確にする

CRMやSFAを活用した経営戦略やアプローチ、KPIの設定においては、「まず何を達成したいのか?」という『目的』を明確にすることが重要です。

CRM・SFAのツールやITアプリケーションの導入を検討している企業には、具体的な課題と達成したい目標、その指標が漠然としていて、明確になっていないケースが少なくありません。

営業をするにしてもプロセスが可視化されていない状況で課題を明確にすることは困難であり、目的が変わると課題も変わってくるでしょう。

目的がはっきりとしていないことが原因で、データの整理から着手しなければならず途方に暮れてしまうといった失敗談は少なくありません。

まずCRMを導入する際には、『導入目的』『導入経緯』を明確にし、どのようなツールが必要なのかを考えることが重要です。

CRM導入ポイント②課題を明確にする

『CRM』導入ポイント①で解説した『目的』を明確にした次は、『課題の整理』を行い、「目的達成のために何をするべきなのか?」を明確にしましょう。

『課題』が明確になると、どの指標に対してKPIを設定すればよいのかおのずと見えてくるでしょう。

KPIとは?KPIとは、Key Performance Indicatorの略で、日本語に訳すると「重要業績評価指標」という意味になります。KPIとは目標を達成する上で、その達成度合いを計測・監視するための定量的な指標のこと。

KPIの達成状況を見ながら、適宜戦略の進捗見直しや微調整を行いましょう。

例えば営業部では、属人的で営業情報の見える化が重要です。その為に見るべき(マネジメントすべき)ポイントを明確にする必要があります。

【ケースA】 「残業が多くなりがちな営業の負担を軽減するために、事務作業量を削減・効率化したい」というケースの場合は、業務の効率化に関する指標(行動量や時間)を定める必要があります。

【ケースB】 「営業の受注率・成約率を向上させ一人ひとりの生産性を向上させたい」というケースの場合は、営業の質と量に関する指標(成約率、案件数など)を定める必要があります。

CRM導入ポイント③情報蓄積から共有する

『CRM』の導入が完了したなら、CRMのツールを使い顧客情報の蓄積・管理と分析を行っていきます。

ただし前述の通り、CRMをはじめて運用する場合、それなりの手間と費用がかかり効果を実感できるまでタイムラグが発生します。CRMをもともと導入していなくとも、企業内で顧客に関するデータ記録していることが一般的でしょう。

おそらくどの企業の顧客データベースも顧客の性別、年齢、連絡先、など定量的なデータが記録されていて、趣味や好みなどの定性的なデータは顧客対応を担当している方々が各々の経験として蓄積している場合がほとんどでしょう。

顧客がそれぞれ独自に形成している定性的なデータの活用は、「担当者任せ」の場合が多く、社内で顧客情報を共有して活用することは困難です。

『CRM』と従来の顧客データベースの違いは、蓄積できる顧客情報の量とビジネスに活用するための分析能力です。

例えば、会社名、部署名、担当者名(キーマン)などの定量情報をはじめ、購買目的、志向やニーズなどの定性情報を含めて顧客属性として管理します。

また、購入した製品・サービス、取引数量・金額などの購買実績、頻度や予算、次期購入見込みなどの拡大余地に関する情報も登録しておきます。

『CRM』のツールが導入できても成果が出るまで多少なりともタイムラグがでます。なので蓄積したデータを社内で共有することから始めてみましょう。

CRM導入ポイント④まず既存顧客にアプローチ

『CRM』の恩恵を比較的早期に得るには、まず既存顧客のデータを分析し活用することをおすすめします。

新規顧客のデータを新たに0から構築するには時間を要するため、まず既存顧客の情報を分析してニーズの再確認を行い、提供している製品やサービスの最適化、顧客へのアプローチをすることで顧客満足度を高め自社にってコアな優良顧客を増やすことがポイントです。

既存顧客が自社にとってコアな優良顧客に育ち、自社の製品・サービスをコンスタントに購入してもらえれば、ある程度の売上・利益を確保でき、新規顧客の獲得に動けるでしょう。

見込顧客を新規顧客として獲得するのは、既存顧客を維持するよりも数倍の労力と経費がかかるため、既存顧客の管理状況と効果を見ながらCRMを運用するとよいでしょう。

CRMの活用事例

抱えている課題は業種や業界によってさまざまなので、CRMを導入するメリットも企業によってさまざまです。導入を検討されている方がイメージをつかむために、CRMの活用事例を見ていきましょう。

CRMの活用事例①NHNテラコス株式会社

会社概要

NHNテラコス株式会社は、ゲーム事業やコミックサービスを手掛けるNHNのグループ子会社。主にデータセンター事業を展開しており、主力ホスティングサービスである「DATAHOTEL」はセキュリティを強化した24時間365日のフルマネージドで企業の情報部門を一任することができるソリューションを提供しています。

課題

ターゲット顧客の拡大に、現状の顧客獲得プロセスでは限界があった。既存顧客のニーズも多様化し、営業の感覚値ではなく、テクニカル視点を交えた提案が求められていた。

NHNテラコスが新しい分野での新規顧客開拓を目指す上での課題は2つありました。

一つ目はセミナーなどで獲得したリード情報に対し、営業のフォローが追いつかず取りこぼしが発生していたということ。そして二つ目は既存顧客のニーズも多様化したことで、営業の感覚値に頼るのではなく、セキュリティリスクやキャパシティなどテクニカル視点を交えた提案が必要だということです。

CRM導入の成果

NHNテラコスではMicrosoft Dynamics 365を導入してから、リード獲得から案件かまでのプロセスをルール化を整備し、営業のプリセールス活動もトラッキングすることでSE部門からも適宜フォローを行えるように変更しています。

その通常1ヵ月かかっていた作業を1週間まで短縮し、より多くのリードを獲得することに成功しています。

また、Microsoft Azure上にカスタマーポータルを作成したことで、顧客は自らの構築環境をいつでも確認でき、かつ各部署の人間が共通の認識のもと一貫した顧客対応を実現しています。

CRMの活用事例②株式会社プロントコーポレーション

会社概要

「お客様の精神 (こころ) と肉体(からだ) に安らぎと喜びを与え、明日への創造を生み出す JUNCTION となる」という企業理念の下、PRONTやIL BARなどフランチャイズ展開とコンサルティングを提供している。

課題

最大の課題は、1 人平均 10 店舗を担当する SV の業務負荷。店舗巡回と、報告書や会議資料などの作成に追われる多忙さと、業務に必要な情報が散在、情報収集に時間がかかっていた。

直営・フランチャイズと合わせて全国に約300店舗展開しているプロントコーポレーションでは、各店舗に担当のSV(スーパーバイザー)が付いています。SVは損益など経済面のサポートから、サービスが安定するよう運用面でのサポート、時にはアルバイトへの直接指導なども行います。

しかし、SV個々を支援するシステムが不足していたため、月次のデータ集計に2週間を有し、課題検討時には既に1ヵ月が経過しているというタイムロスが生まれていました。

CRM導入の成果

Microsoft Dynamics 365を導入したプロントコーポレーションでは、各SVが円滑に業務を進められるようCRM機能で円滑な情報共有環境を構築し、リアルタイムな情報共有を可能にしています。

さらに各SVにタブレットを貸与することで、いつでもどこからでも必要な情報にアクセスできる環境を提供しました。これにより2週間かかっていたデータ集計がリアルタイムに行えるようになり、大幅にタイムロスを減少させました。

CRMの活用事例③日本ビジネスシステムズ

会社概要

多様なITソリューションを「カスタマーファースト」という姿勢で提供する。常にエンドユーザー視点に立ったソリューション提供が定評を集めている。

課題

従来から社内ポータルサイトに FAQ のしくみも設置していましたが、テクニカルサポート課に個別にメールで相談される案件内容をナレッジベースに編集して公開するのにかなりの手間がかかるため、高度なナレッジの公開まではなかなか進まなかった。

より価値の高いITソリューションを提供し続けえるために、日本ビジネスシステムズでは社内プロフェッショナル達の密なコミュニケーションが重要とし、ポータルサイトや情報共有基盤の整備、時には社内レイアウトの変更まで行い、連携強化に取り組んできました。

しかし、高度なナレッジに関しては共有するのに手間がかかり過ぎてしまっていたため、深い所での情報共有がなかなか進まないという課題があったのです。

CRM導入の成果

こうした課題に対し、日本ビジネスシステムズではMicrosoft Dynamics CRMを導入し「JBS社内サポートセンター」を設置。想像以上に反響が大きく、これまで共有されづらかった高度なナレッジに関しても多くやり取りがされるようになりました。

まとめ

当記事では「そもそもCRMとは何なのか?」「どんなメリットがあるのか?」など初心者の方が『CRM』について理解していただくことを目標に解説しました。

CRMとは、「顧客を中心に考えてビジネスを展開し、良好な関係を構築することで利益の最大化を目指すマーケティング手法」のことを指しています。

近年は、市場の多様化が急速に進み、どの企業もニーズの把握と顧客への最適化が急務となっています。この背景から、CRMを実現するため様々なITソフトやアプリケーションがリリースされています。

CRMは導入すれば必ず成果を出せるものではありません。目的と課題をしっかり明確にし、自社にあった顧客管理ツールを導入するすることが大切です。

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