現代はインターネットの普及に伴い、情報の多様化が進んでいるため新規顧客を獲得することが難しく、新規顧客獲得や既存顧客の維持には必ず費用が発生します。
今ではさまざま業界の企業が通販・リスティング広告やBtoB・BtoCの事業でLTVを意識したデジタルマーケティングを実施していますが、実際にマーケティングを行う方や企業は、費用を適切に計算していないと売り上げが向上せず、事業としての成長も見込めません。
そこで計算によってLTVを求めることで、適切な費用を算出することで1顧客あたりいくらまでの広告費を出せばいいかが分かるなどSEOに特化した機能などで算出できます。
しかし「LTVはどうやって算出すればいいの?」「どうやってLTVから広告費を出せばいいの?」と疑問に思う方がいるのではないでしょうか?
そこで当記事では、「LTVの算出方法」「LTVから広告費を算出する方法」「LTVを最大化させる方法」など、LTVの活用方法などについて紹介・解説します。
LTVとは?
LTVとは、「Life Time Value」の略称で、日本語では『顧客生涯価値』のことを指します。
顧客が取引を開始してから終了するまでの間に、どれだけ自社に対して利益をもたらしたかの収益の総額を算出するために必要な指標で、企業活動・マーケティングにおいて重要な指標の1つとして注目されています。
また、LTVを算出することで1顧客に掛けられる『広告費』を算出することもできるので特にマーケティングをする上で重要な指標として注目されます。
さらに、LTVが注目されているもう1つの理由として、インターネットやデジタル化の普及が進み「顧客行動」「顧客ニーズ」をデータとして一元管理し、社内共有できる『CRMシステム』が注目を集めるようになったことが挙げられます。
CRMを用いて、自社商品やサービスを継続利用する可能性が高い顧客の行動やニーズを分析することで、より効果的なマーケティングができるのでCRMとLTVの親和性が高いとされていることから、CRMと一緒にLTVも注目されるようになりました。
CRMは、『顧客管理』『顧客関係管理』を意味しますが、その歴史は古く現代も進化を続けています。
CRMについてもっと詳しく知りたい方は、以下記事をご覧ください。
LTVを向上させる必要性とは?
前述で、LTVとは何かを理解していただけたと思いますが、中には「LTVを向上させる必要性はあるの?」「LTVってそんなに重要な指標なの?」と疑問を持つ方がいると思います。
そこでここでは、LTVを向上させる必要性を解説します。
まずLTVを向上させるポイントとして、『既存顧客との関係強化』を行えることが挙げられます。
LTVを向上させるためには、顧客に喜んでもらえるような商品やサービスを提供することが前提条件です。
LTV向上を目指し、既存顧客が満足できるものを提供し続けることで、LTVの向上と共に「顧客と企業の信頼関係」を築くことができ、継続して安定した売り上げが見込めるというメリットがあります。
また、マーケティング用語の中に『1:5の法則』という言葉があるように、新規顧客獲得にかかるコスト・予算は既存顧客の維持よりも5倍もコストがかかり効率的とは言えません。
1:5の法則とは・・・新規顧客を獲得するためには、既存顧客維持の5倍のコストがかかるという法則を意味します。新規顧客は獲得コストが高いにもかかわらず利益率が低いので、既存顧客の維持に努めた方が利益の向上が見込めるという考え方です。
しかし、LTV向上を目指し既存顧客へのリピート購入を促すことで、新規顧客を獲得するのにかかる「広告費」「販促費」を抑えることができるので『事業の収益改善』につながり、利益が出やすくなるので企業の負担も軽減されます。
LTVと目標CPAについて
LTVの他にも獲得単価を意味する「CPA」というものがあります。
このCPA(顧客単価)の数値は、LTVから算出した数値を利用して目標CPAを割り出すことができます。
ここからは、LTVの活用方法について解説していきます。
CPAとは
CPA(Cost Per Acquisition)とは、獲得単価を意味しており、配信されている広告を見た顧客が製品を購入したり有料会員登録を行ったりして成果があがった場合、1件あたりの成果に対してかかった費用のことを「CPA」といいます。
例えばサプリメントなどの商品を1つ売るためにかかった費用がCPAということになり、CPAの数値が低いほどコストを抑えて成果を挙げられているということになります。
LTVから広告費を算出する
CPAの基本的な情報について紹介しましたが、CPA目標を下げれば良いというわけでは適切な施策を打つことが難しくなり、結果として利益が下がることにつながります。
そこで、LTVを考慮した目標CPAが必要となります。
たとえば、平均購入単価が1,000円の化粧品があり、粗利率が30%の場合、LTVを考慮せずに計算するとすると以下のようになります。
・1,000円×30%=300円
そのため、300円以下のCPAで成果を出さなければいけませんが、LTVを加味することで、より適切なCPAを割り出すことが可能です。
・LTV×粗利率=目標CPA
そのため、化粧品の例の場合、LTVが5,000円だとすると、LTV(5,000円)×30%=1,500円と算出できます。
上記より目標CPAは1,500円となり、成果1件あたり1,500円まで使えるということになります。
LTVを加味しなかった場合のCPAは1,500円となりましたが、LTVを加味した結果¥1,500円となり、より広告に費用をかけられるので、LTVを加味して適正なCPAを算出しましょう。
LTVの算出方法とは?
前述で、LTVの必要性を理解したと思いますが、LTVを算出することで顧客生涯価値はどのくらいなのかを知ることができます。
LTVを算出するためには、『平均購買頻度』『継続購買期間』など原価や機関などの数字を正確に知る必要があります。
もしこれらの情報を正確に計測できない場合は、「社内システム担当者」「システム会社」「CRM(顧客管理ツール)を提供している企業」に相談すると正しい数値でLTVを算出でき、最適なLTVを算出できます。
では実際に、LTVの算出方法を以下より紹介します。
算出方法①LTV=平均購買単価×平均購買頻度×継続購買期間
LTVの算出方法は複数ありますが、1つ目は基本的な計算式の『LTV=平均購買単価×平均購買頻度×継続購買期間』です。
【使用データ】
・平均購買単価:5,000円
・平均購買頻度:年8回
・継続購買期間:3年
LTV=5,000円(平均購買単価)×8回(平均購買頻度)×3年(継続購買期間)=120,000円
上記データの場合、LTVは『120,000円』ということが分かります。
こちらの計算式は、ざっくりとした数字ではありますが「顧客データ(平均値)」が分かっていれば今すぐにでも算出できるので、覚えておくことをおすすめします。
算出方法②LTV=顧客の年間取引額×収益率×顧客の継続年数
LTVの算出方法のうち、1社あたりの収益や利益を考えるための計算式が『LTV=顧客の年間取引額×収益率×顧客の継続年数』です。
【特定の企業との取引データ】
・顧客の年間取引額:1,000,000円
・収益率:50%
・顧客の継続年数:3年
LTV=1,000,000円(顧客の年間取引額)×50%(収益率)×3年(顧客の継続年数)=1,500,000円
上記データの場合、LTVは『1,500,000円』ということが分かります。
算出方法③LTV=(平均購買単価×購買頻度×継続購買期間)-(新規顧客獲得にかかった費用+顧客維持費用)
LTVの算出方法のうち、「新規顧客獲得コスト」や「既存顧客へのサポート費用」を考慮する計算式がLTV=(平均購買単価×購買頻度×継続購買期間)-(新規顧客獲得にかかった費用+顧客維持費用)です。
【使用データ】
・平均購買単価:5,000円
・購買頻度:年12回
・継続購買期間:5年
・新規顧客獲得にかかった費用:年間10,000円
・顧客維持費用:5,000円
LTV=(5,000円×年12回×5年)-(年間10,000円+5,000円)=285,000円
上記データの場合、LTVは『285,000円』ということが分かります。
他にもLTV=(売上高-売上原価)÷購入者数にて算出できます。
LTVから広告費を算出する方法とは?
前述でLTVの算出方法を紹介してきましたが、LTVを求めることができれば『CPA』を算出することができ、成果1件あたりにどのくらいの広告費をかけることができるかを知ることができます。
マーケティングを行う上で適切なCPAを算出できることはとても重要で、CPAが高くなると利益率が低くなるので注意が必要です。
・CPAとは・・・「Cost Per Acquisition」の略称で、『顧客獲得単価』を指します。新規顧客を獲得するのに1人あたりどのくらいの費用がかかったかを示します。例えば、とあるユーザーを集めるために「広告費に100万円」かけたとして、獲得したユーザー数が「1万人」なら、「CPA=広告費用÷コンバージョン数」より『100円』ということが分かります。
しかしこのCPAを下げるだけだと、適切な施策を打つことが困難になり結果的に利益が下がる可能性があります。
そこでLTVを考慮した目標CPAが必要です。
例えば、「平均購買単価=8,000円」の商品があり「粗利率=30%」をLTVを考慮せずに計算すると、
8,000円(平均購買単価)×30%(粗利率)=2,400円
となります。つまり2,400円以下のCPA(顧客獲得単価)で成果を出さなければいけないということが分かります。
ここで、LTVを加味して目標CPAを算出すると、
LTV×粗利率=目標CPA
となるため、もしLTVが20,000円だとすると以下のような計算式になります。
【使用データ】
・平均購買単価:8,000円
・平均購買頻度:年6回
・継続購買期間:3年
・粗利率:30%
LTV=8,000円(平均購買単価)×6回(平均購買頻度)×3年(継続購買期間)=144,000円
144,000円(LTV)×30%(粗利率)=43,200円(目標CPA)
上記計算式のようにLTVを加味すると目標CPAが『43,200円』になり、1顧客を獲得するために『43,200円』までの費用を使うことができるということが分かります。
LTVを加味しない場合だと『2,400円』でしたが、LTVを加味するとCPAが『43,200円』になり、より多くの広告費をかけられるようになりました。
LTVを最大化させる5つの方法とは?
ここまで「LTVの算出方法」や「LTVから広告費を算出する方法」を紹介してきましたが、自社商品やサービスの競合が強いとLTVを加味したCPA設定をしても守れないケースがあります。
このような場合は、広告出稿を一旦止めてLTVを最大化させるための施策を優先する方がいいかもしれません。
しかし中には「LTVを最大化させるためには何をしたらいいの?」「具体的な方法はあるの?」と疑問を持つ方がいると思うので、ここからはLTVを最大化させる5つの方法を紹介していきます。
方法①平均顧客単価を上げる
LTVを最大化させる1つ目の方法として、平均顧客単価を上げることがあります。
平均顧客単価とは、自社商品やサービスを利用した顧客1人あたりの平均消費金額のことを指します。
例えば、顧客の「購入回数を増やす」「1商品・1サービスごとの単価を上げる」ことによってサービスの価値が上がり、平均顧客単価・売上を高めることができます。
方法②平均購買頻度を上げる
次にLTVを最大化させる2つ目の方法として、平均購買頻度を上げることがあります。
顧客一人ひとりの購買頻度が上がれば、商品・サービスの単価が多少安価でも売り上げを伸ばすことが可能になります。
また、平均購買頻度を上げるための施策として、1ヶ月で使いきれる商品を2か月、3か月に1回しか購入していない顧客には『メールまたはDMなどでお知らせする』、平均よりも多い頻度で商品を購入している顧客には『アンケートを取り、その商品の使い方などを紹介してもらう』などの方法が挙げられます。
方法③平均継続期間を延ばす
次にLTVを最大化させる3つ目の方法として、平均継続期間を延ばすことが挙げられます。
平均継続期間を延ばすことができれば、安定して収益を得ることができるだけでなく、顧客が自社商品・サービスに信頼を持っているという確認ができます。
平均継続購買期間を延ばす施策として『ロイヤリティプログラム』が効果的です。
・ロイヤリティプログラムとは・・・ブランドに愛着や信頼を持ち、競合他社に流れることなく自社商品やサービスを購入し続ける『真のブランドファン』を創出するための施策の1つを意味します。
万が一、顧客が他社に乗り換えたとしても「またあのブランドに戻りたいな」と思ってもらうために、お得感だけではなく「優越感」「特別感」「満足感」を感じてもらうことが平均継続期間を延ばす上でとても重要です。
方法④顧客獲得・維持にかかるコストを抑える
次にLTVを最大化させる4つ目の方法として、顧客獲得・維持にかかるコストを抑えることが挙げられます。
LTVを最大化できても結局、Webでの広告運用や顧客獲得・維持にかかるコストなどが高くなると利益率が低くなり事業の成長も見込めません。
例えば、Yahoo!広告の検索広告では、「広告表示の最適化」の機能をオンにするだけで、クリック率やコンバージョン率が高かった広告パターンが多く表示されるようになり、広告運用者の手間をかけずに、パフォーマンスを最適化できます。
そこで、顧客満足度を向上させるために商品やサービスの質を向上させつつ、顧客管理システム(CRM)や営業支援システム(SFA)などのマーケティングツールを活用し、既存顧客データの管理などの作業時間を減らすことが大切です。
また、購買パターンの一覧に応じた適切なアプローチも重要で、顧客の中には「無料トライアル期間のみ利用して解約する方」や「定期的に購入してくれる方」と様々な購買パターンが存在するので、工夫したアプローチの仕方を実践する必要があります。
方法⑤顧客ロイヤルティを向上させる
次にLTVを最大化させる5つ目の方法として、顧客ロイヤルティを向上させることが挙げられます。
顧客ロイヤリティとは、顧客が特定の企業や商品・サービスに持つ「信頼」や「愛着」のことを指します。
商品やサービスを1回限りの購買・利用ではなく、顧客が長期的に愛着を持って利用しているかどうかの判断材料としても使われます。
この顧客ロイヤリティを向上させるためには、『自社商品やサービスに対する顧客の評価を調査し、現在抱えている課題を明らかにすること』が挙げられます。
まず、自社商品やサービスに対する顧客に関連する情報についての評価を調査して、抱えている課題を解決します。
そのためには、顧客の声を正確に把握するために「客観的に扱える数値データの資料」を抽出し運営する必要があります。
さらに顧客との接点を洗い出し、『CX(顧客体験)』を改善させることも重要です。
・CXとは、「Customer Experience」の略称で日本語では『顧客体験』を指します。
このCXを向上させるために、購買行動の流れにおける企業と顧客との全ての接点を洗い出し、各接点で顧客がどう感じどう行動したかを明らかにします。
そこから抽出される問題点を分析し、改善案を立て『小さな課題の改善を積み重ねる』ことで、顧客体験が向上します。
まとめ
ここまで、「LTVの算出方法」「LTVから広告費を算出する方法」「LTVを最大化させる方法」を紹介・解説してきました。
LTVの算出方法は主に3つあり、使用するデータによって計算式が異なります。
また、LTVを求めることで目標CPAが分かるので1顧客獲得するのにいくらまでの費用を使うことができるのかが明確になります。
しかし自社商品やサービスの競合が強い場合、LTVを加味したCPAを設定しても守れないケースもあります。
そんな時はLTVを最大化させるための施策を考え、実行することに専念しましょう。
当記事では、LTVを最大化させる方法やLTVの重要性を詳しく掲載しているので、企業やこれからマーケティングを行う方は是非一度目を通してほしいと思います。
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