近年、注目を集めている職種にカスタマーサクセスが挙げられます。
しかしながら、カスタマーサクセスの具体的仕事内容について、詳しく知らない人も少なくありません。
そこで当記事では、「カスタマーサクセスの仕事内容」について解説します。
仕事内容はもちろんのこと、注目されている背景や求められているスキルも解説していくので、この仕事が気になる人や導入を考えている企業の方は参考にしてみてください。
カスタマーサクセス注目されてる背景
現在、多くの企業でカスタマーサクセスに注目が集まっています。
カスタマーサクセスが注目を集める背景には、ビジネス面において大きく2つの変化が関係しています。
では、カスタマーサクセスが注目を集めている背景にはどのようなことがあるのかを、以下で解説します。
1.サブスクリプション型ビジネスの普及
カスタマーサクセスが注目される1つ目の背景として、サブスクリプション型のビジネスモデルが普及してきた点が挙げられます。
サブスクリプション型のビジネスモデルとは、サービスを購入するのではなく、利用期間に応じて料金を支払うビジネスモデルのことです。
今までは、必要に応じて商品やサービスを購入することが多く、初期費用が高くなるのが難点でした。
そこでサブスクリプション型の商品やサービスなら、利用期間に応じて毎月料金を支払うだけなので、初期費用が安く、予算に余裕が無い企業でも導入しやすいビジネスモデルになります。
しかし、サブスクリプションモデルは利用のハードルが低いと同時に、解約されやすい性質ももち合わせています。
何か問題や不都合があると、すぐに競合に顧客が乗り換えてしまう可能性があります。
そのため、顧客の解約を防ぎ、利用継続期間を持続させる役割を担うカスタマーサクセスは重要になります。
2.営業スタイルの変化
2つ目の背景として、営業スタイルの変化が挙げられます。
従来は、顧客と契約を結ぶことがゴール地点であり、契約締結後のことはあまり重視されていませんでした。
前述した通り、買い切り型ビジネスの営業の場合、商品・サービスの購入・契約がゴールとなります。
しかし、サブスクリプション型ビジネスの営業の場合、顧客のニーズを満たし、サービスや商品を長期的継続してもらうため顧客と良好な関係性を構築する必要があります。
契約後に十分なフォローができていないと顧客満足度は低下し、解約の可能性は高まります。
サービスや商品を継続して利用してもらえるように顧客の期待値を調整し、利用方法を伝えることに加え、顧客のリアルな意見を集めてサービスに反映させるなどして、サービスを改善させていくことが重要となるわけです。
仕事内容
続いてカスタマーサクセスの具体的な仕事内容を解説していきます。
カスタマーサクセスの仕事は、主に「オンボーディング」「アダプション」「プロダクトフィードバック」「エクスパンション」の4つに分けられます。
1.オンボーディング
オンボーディングとは、顧客が自社の提供しているサービスや商品について理解し、自らの意思で好きなように活用し、価値を実感できるところまで導いていくことです。
顧客がサービスを利用し始めてすぐの時期は利用方法が理解できず、使いにくいサービスだと思われてしまうおそれがあります。
また、近年は、サブスクリプションでサービスや商品を提供していることも多く、早期に解約されてしまう可能性が高くなっています。
オンボーディングでは、こうした事態を防ぐため、顧客の目線に合わせたサポート実施し、スムーズなサービス利用につなげていきます。
2.アダプション
アダプションとは、オンボーディングがうまく進んだ顧客に対し、新たな活用方法を提案し、よりサービスの価値を感じてもらうことです。
そして、サービスや商品の利用時間の増加やログイン回数の増加など、自社サービスや商品の利用率の向上と定着化を目指します。
顧客に対しては、自社サービスをどれくらい活用しているのかをヒアリングし、そのデータをもとにして、顧客の成功体験につながる活用方法を提案します。
3.プロダクトフィードバック
プロダクトフィードバックとは、顧客からプロダクトに関するフィードバックを受け、改善のためのPDCAを回す仕組みのことです。
顧客の様々な声に耳を傾けるでプロダクト自体の価値を上げることができます。
プロダクトフィードバックは、特定の既存顧客の満足度の向上だけではなく、既存顧客全体の満足度向上や新規顧客の獲得にも繋がります。
4.エクスパンション
エクスパンションとは、顧客の自社サービスの活用をさらに拡大させることです。
契約の更新や、顧客の利用単価を上げるためのアップセル・クロスセルがこのフェーズに含まれます。
また、成功体験後はアップセル、クロスセルによってさらなる顧客の成功とLTV最大化のために行動を促進させます。
カスタマーサクセスの役割
続いてカスタマーサクセスの役割を解説していきます。
カスタマーサクセスの役割は、顧客に対し自社から計画的・戦略的にアプローチを行うことです。
顧客が自社のサービスや商品を上手く活用できているか確認し、必要であればサポートすることが主な役割です。
また、顧客が成功に向かって進むように、軌道修正も行います。
ここから、具体的な役割を大きく3つ解説していきます。
LTVの最大化
1つ目の役割は、LTV(ライフタイムバリュー:顧客から生涯にわたって得られる利益)の最大化です。
カスタマーサクセスの実施により、解約率を低下させることで、収益の最大化を図れます。
LTVの最大化を目指すことは、会社の利益の増加につながるため、カスタマーサクセスの重要な役割の1つだと言えます。
解約率の削減
2つ目のカスタマーサクセスの役割は、顧客の成功体験に寄与し、解約率を下げることです。
解約率(チャーンレート)はカスタマーサクセスが重視する指標です。
継続して利用してもらうには、まず顧客が商品やサービスを十分に使いこなし、価値を感じてもらう必要があります。
そのため、商品やサービスを利用するうえで、疑問や不満を感じることがないか顧客へのきめ細かなサポートが欠かせません。
また、サービスや商品を利用する中で、将来起こりうるトラブルや顧客のネガティブな感情の発生を抑えなど、先手を打った対策を実行できれば、結果的に解約率の減少へとつながります。
サービスや商品を通して成功体験を与え、解約率を削減していきましょう。
サービスに対するフィードバックの獲得
3つ目は、サービスに対するフィードバックの獲得です。
既にある商品やサービスをより良くしていくことも、カスタマーサクセスの重要な役割です。
顧客の声に耳を傾け、サービスの改善改良を繰り返し、解約や離脱の原因となる問題をしらみつぶしにしていくことが高い顧客満足度を維持するのにつながります。
そのため定期的に顧客とコミュケーションを取りフィードバックを受けるようにしましょう。
カスタマーサクセスに必要なスキル
ここからはカスタマーサクセスに必要なスキルを解説していきます。
カスタマーサクセス担当者がまず身につけておくべき基本的なスキルとは一体どのようなものなのでしょうか。
どのスキルも重要になるのでしっかりポイントを押さえておきましょう。
コミュニケーション能力・ヒアリング能力
カスタマーサクセスに必要な1つ目のスキルは、コミュニケーション能力・ヒアリング能力です。
カスタマーサクセスでは顧客と密接に関わる必要があるため、特にコミュニケーション力が求められます。
また、顧客のサービスや商品の利用状況や困っていることを把握するため、ヒアリング能力も必要です。
人が好きで、コミュニケーションをとることが好きな人は、カスタマーサクセスに向いていると言えます。
顧客と話し合う中で、顧客が必要としている問題解決方法を見出し、提案していきましょう。
課題発見力・問題解決力
カスタマーサクセスに必要な2つ目のスキルは、課題発見力・問題解決力です。
カスタマーサクセスは、顧客へのヒアリングやサービスの利用データなどから顧客の課題を見つけ出していきます。
情報を集めるのが得意な人は、たくさんの情報を駆使して顧客の成功に導くカスタマーサクセスに向いていると言えます。
すなわち、課題を発見し、顧客の意向を踏まえた上で解決策を提案することがカスタマーサクセスの役割なのです。
分析力
カスタマーサクセスに必要な3つ目のスキルは、分析能力です。
カスタマーサクセスは、数字データを根拠に顧客と会話し、課題解決へと導いていくケースが多いため、企業はデータ分析能力が高い人を求めます。
商品やサービスの課題を発見するには、顧客からのフィードバックだけではなく、データを見ながら見つけていくことも必要です。
必要なデータが何か判断し、データで見て、データで話す力をつけることで、説得力のある提案ができるようになります。
ファシリテーション能力
カスタマーサクセスに必要な4つ目のスキルは、ファシリテーション能力です。
カスタマーサクセスは、人と人とのコミュニケーションを円滑にするための調整力である、ファシリテーションスキルが求められます。
カスタマーサクセスは、営業や開発などの他部署と関わり合いながら顧客を成功へと導くため、社内での連携を良好に保つ必要があります。
それぞれの立ち位置の状況を見極めながらプロダクトを進めていきましょう。
まとめ
当記事では、カスタマーサクセスの仕事内容や、注目されている背景、必要なスキルを解説してきました。
サブスクリプション型のサービスにおいてカスタマーサクセスは欠かせないサービスと言えます。
また、カスタマーサクセスはまだまだ発展途中の職種ではありますが、今後、より重要性が増してくる職種になることは間違いないでしょう。
ぜひこの機会に、自社へのカスタマーサクセスの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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