カスタマーサクセスは、サービスの継続率や顧客満足度の向上に寄与する取り組みとして、近年注目を集めている職種です。
カスタマーサクセスとは、わかりやすくいえば、顧客のビジネスにおける成功体験づくりをサポートすることです。
そこで当記事では、カスタマーサクセスを実現するための具体的なプロセスとその実践方法についても徹底解説します。
カスタマーサクセスのプロセス
はじめに、カスタマーサクセスのプロセスを解説していきます。
カスタマーサクセスのプロセスは、大きく4つのフェイズがあります。
以下より1つずつ解説していきます。
1.オンボーディング
「オンボーディング」では、顧客が実際に商品やサービス契約してから、導入支援を行うフェーズです。
具体的には、商品やサービスをどのように使っていけばいいのか、利用のステップやスケジュール、必要なタスクや設定などをわかりやすく迅速に案内していきます。
また、顧客の状況や課題をヒアリングし、その内容に合わせたサービス・機能のセミナーや研修などを行うこともあります。
近年は、サブスクリプションでサービスを提供していることも多く、顧客にとってわかりにくいサービスはすぐに解約されてしまいます。
そのため、オンボーディングの段階で顧客に成功体験を与えられれば、顧客にも満足してもらえ、継続して利用してもらえる可能性が高くなります。
2.アダプション
次の段階としては、「アダプション」になります。
オンボーディングがうまく進んだ顧客に対して、さらなる活用方法を提案し、よりサービスの価値を感じてもらうフェイズになります。
また、サービスの利用時間の増加やログイン回数の増加など、自社サービスや商品の利用率の向上と定着化を目指します。
理想としてはカスタマーサクセス側が、働きかけなくても、顧客が自ら商品やサービスを利用している状態が望ましいです。
そのため、このアダプションフェーズでは、顧客の商品やサービスの理想的な利用頻度を企業側で想定しながら利用を促すためのコンテンツ提供や、定期的な利用状況のチェックをしながらサポートしていきます。
3.エクスパンション
続いての段階としては、「エクスパンション」になります。
この段階は、オンボーディングとアダプションが十分に行われたうえで、はじめてエクスパンションが可能となります。
顧客に契約を更新してもらったり、利用金額を上げてもらったりすることを目指します。
また、顧客の課題を理解することで、よりサービス価値が高くなる施策を考え、各顧客に適したアプローチを行っていくフェイズになります。
近年のビジネスモデルがサブスクリプション型のサービスですと、初期コストをかなり下げている為、売り上げや利益を確保する為には積極的にエクスパンションしていく必要があります。
1.アップセル
アップセルとは、顧客が購入したサービスをアップグレードしてもらうことで利益を増やす手法です。
2.クロスセル
クロスセルとは、購入したサービスの関連商品などをさらに追加購入してもらうことや、別の関連商品・サービスも購入してもらうことで、利益の増加を目指します。
4.プロダクトフィードバック
最後の段階は、「プロダクトフィードバック」になります。
顧客に自社サービスや商品を継続して利用してもらい、満足度を向上させていくためには、顧客の声に耳を傾けて、常に内容を改善し続けていく必要があります。
プロダクトフィードバックを行うことで、既存の顧客満足度はもちろんのこと、新規顧客の満足度向上にもつながるのです。
また、1度に全てを修正するのではなく、フィードバックの中から優先順位をたてて、プロダクトへ反映していきましょう。
顧客層に応じたアプローチ
企業の商品やサービスによって顧客を成功に導くカスタマーサクセスでは、LTVや企業規模、プロダクト活用成熟度、将来的な契約の拡大可能性等で分類した顧客層別にアプローチを変える「タッチモデル」を活用すると、より効果的で効率的な活動の実現が可能となります。
カスタマーサクセスでは、3つのタッチモデルが提唱されており、オンボーディングにおいても、この3つのタッチモデルが活用されます。
1.ハイタッチ
ハイタッチ層とは、LTVがもっとも大きく、企業に大きな利益をもたらす顧客層となります。
ハイタッチとは、主には大手企業など大口顧客へ施すアプローチ手法です。
そのため、顧客ごとに担当者を設け、企業への訪問や定期的な面談などで手厚いサポートを行っていきます。
2.ロータッチ
ロータッチ層とは、ハイタッチ層と後ほど説明するテックタッチ層の中間層です。
ハイタッチ層に比べて顧客数は多く、テックタッチ層ほどLTVが低くない顧客となります。
ハイタッチよりも顧客数が多くなるため、いかに効率的かつ効果的な手段を考えられるかがポイントです。
具体的な施策としては、「定期的なウェビナーの開催」「ユーザーの状況に応じてオリジナル資料を提供」「メールによるサポート」などが考えられます。
3.テックタッチ
テックタッチ層とは、LTVが最も小さく、顧客数が最も多い層です。
顧客毎の手厚い対応は非効率となるため、基本的には、テックタッチ(テクノロジーによる接触)のアプローチが中心になります。
テックタッチ層へのオンボーディングは「サービス公式のヘルプページを整備」「ノウハウを共有するメールマガジンの配信」「チャットボットなどでの自動応対応」などが挙げられます。
カスタマーサクセスのメリット
最後にカスタマーサクセスがもたらすメリットを解説していきます。
ここでは大きく4つ紹介します。
1.顧客生涯価値(LTV)の向上
カスタマーサクセスの1つ目のメリットは、顧客生涯価値(LTV)の向上です。
LTVとは、顧客の生涯を通して企業にもたらす利益のことです。
サービスや商品を長期間、継続利用する顧客ほど、LTVが高くなります。
また、カスタマーサクセスによるアップセルやクロスセルで、自社のサービスや商品のLTVを向上させることができます。
LTVが向上できれば、継続的な商品・サービス利用が見込めるため、会社の利益の増加につながっていきます。
2.解約率(チャーンレート)の低減
カスタマーサクセスの2つ目のメリットは、解約率(チャーンレート)の低減です。
サブスクリプション型のサービスにおいては、顧客がサービスを契約した後、どれだけ長期的に継続してくれるかが重要です。
サブスクリプション型は、安定的な収益が期待できる反面、顧客のモチベーションが下がるとすぐに解約されてしまう可能性があります。
そのため、カスタマーサクセスを行い、顧客が商品やサービスに満足感してもらえれば、解約率を下げることが可能になります。
3.プロダクトやサービスの改善
カスタマーサクセスのメリット3つ目は、プロダクトやサービスの改善です。
カスタマーサクセスは、顧客と密なコミュニケーションを取ることで、自社商品やサービスに対するフィードバックを受けることができます。
顧客からのフィードバックによって、企業側では気付くことのできなかった商品やサービスに対する問題点や改善点を知ることができ、商品やサービスの改善につなげることができます。
商品やサービスがより良くなれば、既存顧客の満足度につながるだけでなく、新規顧客へのアプローチにも活用できます。
4.顧客のファン化
カスタマーサクセスのメリット4つ目は、顧客のファン化です。
カスタマーサクセス導入することで顧客のロイヤルティを高めることができ、LTVの向上が期待できます。
また、顧客のロイヤルティを高めることは企業のファンである、ロイヤルカスタマー増加につながります。
ロイヤルカスタマーとは、企業や企業が提供しているサービスや商品に愛着を持って、継続的に購入・利用している顧客です。
ロイヤルカスタマーになった顧客は、新規顧客獲得を促進させたり、サービスや商品の追加購入や購入頻度が増えたりと、さまざまな利益をもたらしてくれます。
まとめ
当記事では、カスタマーサクセスにおけるプロセスを徹底解説してきました。
カスタマーサクセスでは、顧客に対して企業が提供する商品・サービスの価値を最大限に引き出せるように助け、顧客体験においてプラスaの価値を生み出すことを目指します。
当記事をきっかけにカスタマーサクセスについて少しでも理解を深めていただけましたら幸いです。
また、今回紹介した情報をぜひ自社に取り入れてみて、実際にカスタマーサクセス活動を始めてみましょう。
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