近年、カスタマーサクセスという職種はSaaS業界を中心に重要しされ注目が集まっている職種です。
しかし、「カスタマーサクセスは将来性は本当にあるのか」「必要なスキルは何か」
など、カスタマーサクセスの将来性や需要が気になる方多いのではないでしょうか。
そこで当記事では、カスタマーサクセスの将来性と今後必要とされるスキルを中心に解説していきます。
カスタマーサクセス職への就職や転職を考えている方はぜひ当記事を参考にしてみてください。
カスタマーサクセスが注目されている背景
カスタマーサクセスが注目される背景には、様々なビジネス面の変化が関係しています。
その中でもカスタマーサクセスが注目を集める背景は、大きく2つあります。
サブスクリプション型ビジネス(SaaSなど)の普及
カスタマーサクセスが注目される背景の1つ目はサブスクリプション型ビジネス(SaaSなど)の普及です。
サブスクリプションは、従来の売り切り型とは異なり、一度の料金の支払いで一定期間サービスを利用できるビジネスモデルのことです。
「サブスクリプション型ビジネス」においては、顧客が商品・サービスを継続利用しない限り、収益の最大化は図れません。
そこでサービスや商品の解約率を下げ、顧客を成功体験に導くサポートをするカスタマーサクセスの役割が重要になってきます。
営業手法の変化
カスタマーサクセスが注目される背景の2つ目の背景として、営業の変化が挙げられます。
サブスクリプション型のビジネスモデルが浸透するようになり、営業スタイルも変化が見られるようなってきました。
売り切り型ビジネスの場合、商品・サービスの購入・契約までがゴールでしたが、サブスクリプション型ビジネスの場合、顧客の求めるニーズを満たし、継続利用してもらうために顧客と長期間良好な関係性を構築する必要があります。
継続的利用により収益をあげていくビジネスモデルでは、顧客との関り方が大きな比重を占めます。
こういった従来型の営業手法を大きく変化したことは、カスタマーサクセスが注目を集める背景の一つとして考えられています。
カスタマーサクセスの将来性
ここからはカスタマーサクセスの将来性について解説していきます。
カスタマーサクセスは、主にSaaS企業で導入されており、SaaSによる成長と市場拡大が大きく影響しています。
すなわち、カスタマーサクセスの将来性は、SaaS市場の将来性と関係性が重要なポイントになってきます。
将来性①SaaS市場の拡大
カスタマーサクセスは、SaaSやサブスクリプションのビジネスモデルを軸とした企業で必要とされています。
はじめに、国内外におけるSaaSの市場規模について見ていきましょう。
国内におけるSaaS市場規模
まずは国内のSaaS市場規模の傾向をみていきましょう。
SaaS比較サービス「BOXIL SaaS」を展開するスマートキャンプ社が公開した「SaaS業界レポート2021」(※1)によると、国内のSaaS市場は年平均成長率12.5%を維持しています。
そして、SaaS市場規模は2026年には2020年度実績の2倍以上となる1兆1,700億円まで成長する見通しとなっています。
また、それに伴いSaaS提供企業によるカスタマーサクセスへの取り組みも加速していきます。
コロナウイルス感染拡大の影響でリモートワークが増加など企業における働き方が大きく変化し、DXの一環としてSaaSが注目され、カスタマーサクセスの役割が今後さらに非常に重要になってきます。
※1:『SaaS業界レポート2021』を12月1日に公開 – スマートキャンプ
世界におけるSaaS市場規模
世界におけるSaaS市場規模の増加もみていきましょう。
AmazonやAdobe、Googleなど、世界中でSaaSをはじめとしたサブスクリプションビジネスの導入が進んでいます。
Report Ocean社の報告(※2)によると、2021年におけるSaaSの世界市場規模は約1,441億ドル。
2022年から2030年の期間で、年間約19%の勢いで成長していくと報告されています。
また、Gartner報告によると、2022年の世界のSaaS市場規模は約1,766億ドル。
そして2023年には約2,080億ドルまで拡大(年17%成長)する見込みがあると報告されています。
※2:Report Ocean「GLOBAL MARKET HISTORY AND OUTLOOK OF MARKETING SAAS PRODUCTS」
SaaS企業にとっての重要なポジション
SaaS企業では、インターネット経由で顧客に、自社のサービスや商品を提供しています。
SaaS企業はソフトの買い切り制からサブスクリプション型のビジネスモデルに大きく変化しました。
安定した利益を出し、売上げを上げるには、顧客に継続的に利用し続けてもらう工夫が必要です。
そのため、カスタマーサクセスのように、契約前後も顧客をサポート役割が必要になります。
カスタマーサクセスでは、契約後に顧客が直面する課題の解決や、サービスに価値を感じてもらうため顧客に対して戦略的にアプローチを行い、成功体験サポートします。
将来性②求人数の増加
将来性の2つ目は、求人数の増加です。
カスタマーサクセスは新しい時代に求められる営業職として近年注目されています。
ではカスタマーサクセスの求人が実際どれだけ増加しているのか、日本とアメリカで比較してみてみましょう。
日本における求人数の増加
パーソルキャリア(doda)の調査(※3)によると、カスタマーサクセスやインサイドセールスの求人数は19年からの3年間で約12倍に急増しています。
その背景には、前述では紹介したサブスクリプション型ビジネス(SaaSなど)の普及による影響とコロナ感染症拡大による、「働き方」の変化が影響しています。
コロナウイルス感染症が再拡大している中でも、多くの企業がリモートワークで仕事ができる環境を構築する企業が増えた影響によって、求人が増加したと予想されます。
次に紹介するアメリカを中心とした世界ほど日本はまだカスタマーサクセスの浸透度は低いものの、今後も「インサイドセールス」と「カスタマーサクセス」のニーズは、拡大すると予想されています。
※3:転職サービス「doda」、「第3回”新しい時代に求められる営業職”に関する調査」を実施
アメリカにおける求人数の増加
アメリカにおける求人数に注目してみましょう。
Mordor Intelligence社の調査(※4)によると、カスタマーサクセスの世界市場は、2021年~2026年において年平均24.4%成長すると予測されています。
特にカスタマーサクセスの市場が拡大している地域が、アメリカをはじめとする北米です。
アメリカ発の世界最大級ビジネス特化型SNS、Linked inが発表した「MOST PROMISING JOBS 2018(最も将来が有望な仕事)」(※5)において、カスタマーサクセスマネジャーは3位にランクインしました。
また、同社が発表した「2020 Emerging Jobs Report(アメリカ労働市場で増加率が高かった職種ランキング)」(※6)でも、カスタマーサクセススペシャリストは6位にランクインしており、その注目度の高さが伺えます。
また、アメリカでは、中小企業・中堅企業だけではなく、大企業も含めてカスタマーサクセスの取り組みが進んでいる状況にあります。
カスタマーサクセスの重要性が増しているということは、顧客に関する最上級役員職CCO(Chief Customer Officer・最高顧客責任者)を設置する企業が増えていることからもわかります。
その一例として、アメリカの大手小売企業であるウォルマート社では、カスタマーサクセスの取り組みに向け、2018年にCCO設置し当時大きなニュースとなりました。
今後もアメリカを中心として海外では、多くの企業でカスタマーサクセスの導入が進むでしょう。
※5:LinkedIn Data Reveals the Most Promising Jobs and In-Demand Skills of 2018
将来性③時代との親和性
データやデジタル技術を活用し、ビジネスモデルを変革するDX時代において、カスタマーサクセスは時代に即した職種といえます。
ここでは、その理由について解説していきます。
カスタマーサクセスと親和性の高い領域
現在、カスタマーサクセスを取り入れている企業のほとんどは、IT系企業でSaaS型のソフトウェアを提供している会社が大半です。
しかし、これからの時代、メーカー企業、エンターテイメント、D2C×EC企業、雑誌・メディア運営企業、スモールビジネス・個人事業主などの領域に「カスタマーサクセス」の考え方が応用されていく見込みです。
カスタマーサクセスは、既存の顧客から長期的な利益を得られるようにするビジネスモデルです。
そこから、SaaS領域を発端に、ビジネスの根幹を支える1つの考え方として抽象化されて他の領域へと展開されるようになっていくでしょう。
市場における浸透性
CustomerCoreが実施したIT企業の経営層・マネジメント層を対象とした、カスタマーサクセスに関する意識調査(※7)によると、IT企業の経営・マネジメント層の約52%の方がカスタマーサクセスを認知しています。
そして、その約70%の方がカスタマーサクセスは事業戦略として重要だと考えています。
また、カスタマーサクセスの職種を認知している企業のうち、約46%の企業がカスタマーサクセスを実際に導入しており、今後取り組みたいと検討している企業は約45%を占めています。
上記を踏まえると、日本では今後さらに、カスタマーサクセス浸透していく見込みです。
※7:【IT 企業の経営層・マネジメント層 400 名を対象としたカスタマーサクセスの意識調査】
今後カスタマーサクセスに必要とされる能力
カスタマーサクセスでは、顧客企業の規模や成熟度、提供するサービス・商品に合わせて必要なスキルも異なります。
しかし、共通で持っておくと便利なスキルも数多くあります。
今後カスタマーサクセスをする上で、身につけておくべき一般的なスキルを3つ解説していきます。
コミュニケーション力
カスタマーサクセスに必要とされる能力1つ目は、コミュニケーション力です。
カスタマーサクセス担当者は顧客のビジネスを理解し、ニーズや抱えている課題を的確に把握しなけばいけません。
そのために密接なコミュニケーションを取ることが必要とされます。
そして、顧客を成功体験に導くためには、積極的なアプローチをして顧客との信頼関係を築くことも重要です。
また社内の別部署とも連携しながら顧客をサポートするので、社内の人間関係も求められます。
カスタマーサクセスの基本は、コミュニケーションにあります。
課題発見・課題解決力
カスタマーサクセスに必要とされる能力2つ目は、課題発見・課題解決力です。
顧客を成功体験に導くには、自社商品やサービスに対し顧客が抱える課題を解決するスキルも必要です。
そこでカスタマーサクセスが、顧客の潜在的な課題を発見し、顧客の意向を踏まえた上で解決策を提案することがカスタマーサクセスには求められます。
そして、様々な観点から課題を客観視し、どのようにするとその課題を解決できるか考えて解決策を提示します。
提案力
カスタマーサクセスに必要とされる能力3つ目は、提案力です。
カスタマーサクセスは、顧客に寄り添いながら、顧客が抱える潜在的な課題をくみ取って言語化し、課題解決への提案を行います。
特にサービスや商品を導入・購入させ、時にはアップセル、クロスセルを提案しなけばいけません。
提案に対して顧客自身が成功体験をイメージしやすくするために、カスタマーサクセスは「提案力」が求められます。
分析力
カスタマーサクセスに必要とされる能力1つ目は、分析力です。
顧客を成功に導くためには、あらゆるデータと向き合って分析する力が求めらます。
担当者の熱量や勘などで話を進めることも重要ですが、データをもとに数値化した会話は、より顧客から信頼され、具体的な会話ができるようになります。
さらに分析は、実際のアクションの良し悪しや、指標に対する結果、最終的に事業成果が出ているか否かなど新たなことに気付くことができ、プロダクト改善へと繋げられます。
まとめ
当記事ではカスタマーサクセスの将来性と今後必要とされる能力を中心に解説してきました。
SaaS企業やサブスクリプション型のビジネスモデルが主流になったことで、カスタマーサクセスという職種のニーズも増え続けており、カスタマーサクセスの需要はさらに高まると考えられます。
また、カスタマーサクセスは日本での歴史が浅いため、経験者は重宝され、未経験でもなりやすい魅力的な職種になります。
ビジネスの発展と自社の収益最大化に向けて、積極的にカスタマーサクセス導入を検討しましょう。
そして、カスタマーサクセス職に就職や転職を考えている方は、ぜひ本記事を1つの判断材料にしてみてください。
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