UGC(User Generated Contents)は上手く利用すると、親近感や信頼を得られて売上アップが見込めます。
最近では、一般のユーザーがTwitterやInstagramなどのさまざまな媒体で情報の発信や収集なども可能です。
ユーザーの好みは、企業の適切な情報よりもUGCの情報が好まれる傾向が高いのが現状です。
そのため、UGCを有効的に使用したマーケティングが注目されています。
当記事では、UGCを利用したマーケティングのメリットや有効的な活用方法について解説します。
UGCマーケティングとは
UGCを利用したマーケティングは、ユーザーが発信したコンテンツを使うマーケティングです。
UGCは、ユーザーが個人のSNSで投稿したものやブログ、レビューなどのユーザーが発信するコンテンツのことを指します。
たとえば、InstagramやTwitterで投稿するスターバックスの新作フラペチーノやコンビニスイーツの口コミ、化粧品や食べログのレビューなどです。
このようなユーザーが作り出したコンテンツのデータを企業が使用して、自社の売上につなげるマーケティングが話題です。
ECサイトやLPなどでUGCを掲載した戦略が行われています。
UGCがマーケティングにおいて重要になってきた背景
マーケティングをするには、UGCが欠かせない存在へと変化してきました。
その背景には、スマホが普及されたことやだれでも簡単にコンテンツを作ったり、配信したりできる環境があることなどが関係しています。
ここでは、UGCがマーケティングに関わってきた背景について紹介します。
UGCとSNSマーケティング
SNSマーケティングと相性がよいのがUGCの特徴です。
たとえば、1894年創業の老舗果物店である銀座千疋屋は、若い世代に向けたアプローチができていないという課題がありました。
そこで20〜30代を新規ターゲットに設定し、商品の認知と購入機会を作るためにInstagram活用を始めています。
ユーザーが投稿したギフトや季節のパフェ写真を公式アカウントでリポストし、ほかのユーザー体験を共有しました。
ユーザー体験を共有したところ、約4年間でECサイトへの流入が18倍という好成績を出しています。
購買前の意思決定に与える影響力
商品やサービスを購入する前に、UGCが大きな影響を及ぼしています。
たとえば、化粧品を購入するときはInstagramのハッシュタグで商品名を検索して、口コミを確認するといった事例が増えています。
Instagramで評判を確認するのは化粧品に限らず、飲食店などにおいても同様です。
目玉メニューや味、店の雰囲気などを確認することが急増しています。
一般ユーザーが発信する内容は、忖度なしのリアルな意見のため、有益な情報源です。
そのため、企業が正しい情報で宣伝活動をしても、ユーザーの評価が悪い場合は、購入や来店につながらない確率が高くなります。
インターネットで情報の発信や収集がだれでもできる時代だからこそ、ユーザーがシェアしたくなるような商品やサービスであることがポイントになるでしょう。
デザインが優れていたり、独自性のある商品やサービスであれば、企業が図らずともユーザー同士が商品やサービスを拡散してくれます。
マーケティングに必要なコンテンツ量の増加
リソースに限りがある場合でもUGCを使用すると、クリエイティブな量と質の保証ができるため、効果的に作用します。
そのほかにも、作業工数を減らせるだけでなく、ユーザー目線の表現も取り入れられます。
著しい変化をしているデジタルマーケティング市場は、PDCAサイクルを高スピードで回す必要があるため、コンテンツが豊富にあるUGCは役立つでしょう。
デジタル広告市場の変化
デジタル広告市場でも、UGCの使用に関心が集まっています。
新規顧客やリピーターの獲得が求められていたデジタル広告でも、UGCは十分に効果を発揮します。
広告流入から購入率の向上も見込めるでしょう。
デジタル広告市場でも、UGCの提供は有効的な手段です。
企業が発信する情報にくらべて信頼度が高い
ユーザーが投稿するコンテンツには、実際に購入した商品やサービスのリアルな意見を知れるツールとして有益なため、企業が発信する情報よりも信頼度が高い傾向にあります。
たとえば、ニキビ肌に悩みがあるユーザーがニキビ肌向けの洗顔のレビューをSNSで発信しているものがあるとします。
同じようにニキビ肌で悩んでいるユーザーにとって、非常に重宝する情報です。
一方で、企業が商品の情報を正しく魅力的に伝えたとしても、共感されず、売るための戦略だと思われる傾向が強くあります。
生活者による広告への嫌悪感
SNSで情報収集をするように変化した現代では、広告を不快に感じるユーザーが多い傾向にあります。
UGC目的でSNSを利用しているユーザーにとっては、コンテンツの合間に入る広告によい印象は持ちません。
しかし、興味がある広告はクリック率が上がるため、広告は媒体や場面に合わせて使い分けるとよいでしょう。
UGCはオンラインの顧客体験を助ける
UGCには、オンラインの顧客体験を助ける効果があります。
たとえば、アウトドアブランドであるスノーピークは、オンラインでも実店舗と変わらないつながりを持つためにUGC活用を始めました。
スノーピークだけの一方通行な発信にならないように、ユーザーの声を集めて掲載し、お客さまの質問を受けられるQ&A機能を取り入れています。
現在では、コロナの影響もあり、オンライン購入の需要が高まっています。
2021年3月のGoogleによる調査結果では、既存EC利用者の6割以上がオンラインで購入していきたいと回答しました。
UGCの活用は、今後もオンライン上でも実店舗と変わらない顧客体験を実現するものとして役立つでしょう。
企業におけるUGC活用の現状とその成果
企業ではユーザーに共感を呼び、購買行動に大きな影響を与えるコンテンツとして、マーケティングにUGCを活用する動きがあります。
たとえば、SNS公式アカウントや公式サイト、オンラインショップなどでUGC活用が活発に行われています。
2020年11月〜12月にアライドアーキテクツ株式会社が実施した調査では、UGC活用をしたことがある人のうち76.6%がパフォーマンスが向上したと回答しました。
このことから、マーケティングにUGCを採用すると結果が出やすいことがわかります。
UGC活用事例
ここでは、企業がUGCを活用した成功事例を4つ紹介します。
ハーゲンダッツジャパン株式会社では、自社サイトにハーゲンダッツのカップを開けたときにクレーターがハート形だとラッキーというトレンドができました。
この流れを活かして、ハートの形で占いができるサイトを作ったあともUGCは増加し続けるといった結果を出しました。
森永製菓株式会社は、Twitterでハッシュダグを利用したキャンペーンを実施したところ、1日で最大4万件を超えるリツイートとなる成功を収めています。
キリンホールディングス株式会社は、公式SNSアカウントの投稿画像にUGCを活用したところ、通常よりも135%も超えるエンゲージ数を出しています。
最後に株式会社I-neは、Instagramの投稿で広告クリエイティブをしてコメントやユーザー名を表示させるなどアイディアを出して実行しました。
その結果ページCVRは、たった1ヶ月で1.73倍に向上しました。
UGCをマーケティングに取り入れる3つのメリット
マーケティングにUGCを上手く使用すると、ユーザーから親しみや信頼を感じてもらえるメリットがあります。
ほかにも、コストや制作時間を削減できるなどの多くの利益が発生します。
ここでは、UGCにマーケティングを利用するメリットを紹介します。
親近感や信頼感を醸成できる
ユーザーが発信するコンテンツには、親近感や信頼感を引き出すことに効果的です。
商品やサービスを使用するイメージがリアルに想像できるため、親近感が湧きやすくなります。
ユーザーコンテンツは、良くも悪くも素直な意見が多いため参考にしやすい資料です。
そのため、表示される広告に嫌気を感じているユーザーにもアプローチができます。
企業が発信する情報だけでユーザーは満足できないことが現状としてあります。
実際に商品を使用したユーザーの口コミを上手く使用することで、親しみや信頼の醸成につながるでしょう。
制作の時間とコストを抑えつつ、クリエイティブ量を確保できる
制作する時間やコストを削減するだけでなく、クリエイティブ量を保持できます。
なぜならUGCマーケティングは、既存ユーザーのコンテンツを駆使することで回転率が上がり、より多くのコンテンツを発信することに適しているからです。
そのため、ユーザーとコミュニケーションをとる時間を確保できたり、新たな自社コンテンツやキャンペーン実施にコスト割いていけるようになるでしょう。
商品開発や施策改善のヒントになる
UGCはユーザーが何を求めているのか、イメージが持てるようになるため、商品の開発や改善のヒントになるはずです。
たとえば、企業が考える商品の魅力とユーザーが感じる魅力的な部分がズレている場合があります。
ほかにも、企業が意図していない商品の使い方をユーザーが発信していることも考えられます。
ユーザーが求めるものや着目する部分を知れるだけでなく、収集したデータを分析することで商品の開発や改善に活かしていけます。
そのため、UGCは企業にとってユーザーの素直な声が聞ける貴重な資産といえるでしょう。
UGC活用を成功させるためのポイント
UGC活用を成功させるためのポイントは、運用や収集、生成などがあります。
UGCは利用するだけでは、十分な成果はでません。
ここでは、UGC活用を成功させるコツを詳しく紹介していきます。
UGCを運用する
UGCは、常に同じというわけではなく、目的や場面によって成果が出る見せ方や内容に違いがあります。
より大きな成果を出すためには、自社の目的や場面に合わせて変更したり、戦略的にUGCを運用していくとよいでしょう。
UGCを収集する/UGCを生成する
UGCを有効的に利用して得たいメリットによって、利用すべきUGCは異なります。
たとえば、商品自体を知ってもらいたいのか、詳しい商品の使用方法を広めたいのかなどによっても利用するUGCは変更した方が効果があります。
UGCには、数多くの種類があります。
解決したい課題ごとに、どのUGCがよいかしっかりと考えてUGCを収集するとよいでしょう。
UGCを活用する/効果検証をする
UGCを使用したあとには、使用した効果を検証する必要があります。
UGCの掲載だけをしても、よい反応は得られません。
反応がよいUGCは、どんなものなのか探ると、比較的早く効果が表れるでしょう。
たとえば、日本酒D2CブランドであるWAKAZEは、さまざまなA/Bテストを実施しました。
テスト結果を改善していくことで、UGC導入1ヶ月でLPのCVRを1.1倍まで上げることに成功しています。
UGC活用の次なるフェーズ:運用型UGCとは?
運用型UGCは、UGCを計画的に有効活用していくことです。
生成、活用、効果測定のサイクルを継続的に回します。
継続的にサイクルを回すことで、得られる効果は大きくなります。
ユーザーが発信するコンテンツを企業のブランド成長になるように、新たなコンテンツに変換していく取り組みが必要です。
ユーザーが示したコンテンツへの反応を商品やサービスの開発や、改善へとつなげることがどの企業にとっても大切になるでしょう。
UGCを活用する際の注意点
UGC活用は、ユーザーが発信したコンテンツを使用します。
そのため、ユーザーコンテンツの使用方法を間違えてしまうと、ユーザーや業界全体の信用を失いかねません。
UGCを活用するときには、次の章から紹介することに気をつけましょう。
UGCとステルスマーケティング
UGC投稿をインフルエンサーやモニターに依頼したときに、投稿上に関係性を明示しない行為はステルスマーケティング(ステマ)です。
ステルスマーケティングは、純粋でリアルな口コミを求めるユーザーを裏切る行為に直結します。
そのため、ステルスマーケティングに手を出してしまうと、企業の信用が落ちてしまいます。
UGCを活用するときは、ステルスマーケティングの危険性をしっかりと理解しておきましょう。
UGCと著作権
UGCマーケティングを実施するときには、UGCを投稿したユーザーに許可をとる必要があります。
ユーザーコンテンツを無断で商用に使用してしまうと、著作権違反につながります。
とはいえ、商品モニターで事前に二次活用の承諾を得ているときは、何度も承諾を得る必要はありません。
ユーザーの著作権を念頭において、UGCを利用しましょう。
UGCと薬機法
ユーザーコンテンツを使用するときは、薬機法の対象にならないか注意を払いましょう。
たとえば、ユーザーコンテンツのUGCがオーガニックのものであったとします。
企業が広告のクリエイティブやLP、公式サイトなどの素材に使用する時点で、企業の表現物とみなされ、薬機法の対象になります。
UGCを使用するときは、薬機法にも十分に気をつけて確認を怠らないようにしましょう。
ネガティブレビューへの対応
ネガティブレビューは、公開することで企業への信頼につながる傾向にあります。
ネガティブな意見を公開すると、ユーザーは肯定的な意見と否定的な意見の両方を知れる有益な情報源となります。
たとえば、服のサイズレビューは大いに役立つ情報の一つです。
ワンピースを購入したレビューに、購入者の身長や体重、丈間などの情報が含まれているコンテンツは購入を検討している人が購入ミスを防げる有益な情報源となります。
そのほか、ネガティブレビューを紹介して、商品改善につなげていくこともできるでしょう。
UGC生成を促す3つの手法
UGCを生成するには、SNSでハッシュタグキャンペーンを実施したり、顧客とコミュニケーションをとることなどが効果的です。
ここでは、UGC生成を促す3つの手法について紹介します。
ソーシャルメディア上でのハッシュタグキャンペーン
ソーシャルメディア上で特定のハッシュタグを付けて投稿するハッシュタグキャンペーンは、UGCを生み出す方法として効果的です。
キャンペーンの内容に工夫やインセンティブの用意などが必要ですが、短期間で数多くのUGCを作り出せます。
ファンや既存顧客とのコミュニケーション
ファンや既存顧客とあらゆる場面で、コミュニケーションのきっかけ作りをすることもUGC生成につながります。
たとえば、オリジナルのハッシュタグを作って店頭に表示したり、思わず写真を撮りたくなるようなスペースを設けるなどがおすすめです。
SNSで共有したくなるような人気スポットとなる仕掛けを作り、投稿されたものを自社の公式アカウントでリポストするなどUGCが発生しやすい環境を整えましょう。
インフルエンサー施策
インフルエンサーに商品を使用してもらったり、サービスを体験してもらったりした感想をSNSで投稿もらう方法もUGC生成に効果的です。
とはいえ、ブランドをしっかりと理解して信頼できるインフルエンサーへ依頼する必要があります。
一度に複数のインフルエンサーに依頼し、同じようなSNS投稿が大量発生すると、消費者から反感を買う可能性が高まります。
ほかにも、ステルスマーケティングにならないように関係性の明示をすることも大切です。
UGCが出やすい商材、出にくい商材
UGCは、どんなものでもよいというわけではなく、UGCが発生しやすいものとそうでないものが存在します。
それぞれ簡単に紹介していきます。
UGCが出やすい
UGCが出やすいものは、以下の3つです。
- 人におすすめしやすいもの
- 映えるもの
- モノとしてあるもの
人におすすめしやすいお菓子や本、映画などはUGCが出やすいものの一つです。
そのほか、形がかわいいお菓子やおしゃれなカフェなどの映えるものやモノとして存在しているものは、写真や動画としてSNSで投稿してもらえる機会を得やすいでしょう。
UGCが出にくい
UGCが出にくいものは、以下の3つです。
- 会話に出にくいもの
- コンプレックスを補完するもの
- 高価で希少なもの
UGCが出にくいものは、会話のネタになりにくいものが多くあります。
たとえば、乾電池やゴミ袋などの日常のものや人には言いたくないコンプレックスを補う商品などです。
そのほか、高価で希少価値が高いものもUGCが出にくい傾向にあります。
高価で希少なものは、持っている人が限られるため、UGC生成がされにくいことが理由として挙げられます。
まとめ
今回は、マーケティングにUGCを有効活用したメリットや活用方法について紹介しました。
UGCを活かすことで、企業発信だけの情報よりも高い共感と信頼を得られます。
特に若い世代をターゲットにするならば、SNSとUGCを掛け合わせた活用がおすすめです。
UGCを上手く活用してマーケティングに取り入れると、売上アップも見込めるでしょう。
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